ダライ・ラマ講演メッセージのコア
実は、この「世俗的」であるということが「だいたいいつも一緒」といったダライ・ラマの講演メッセージの中心部なのです。
そのメッセージをまとめると、こうなります。
人間は根本的に社会的な生き物で、それがゆえに、私たちは人を思いやる力の「種」を持って生まれてくる。
その力を発揮することが私たちの幸福や社会の繁栄に必要不可欠だ。
特に現代の社会では思いやりが必要とされている。
「思いやりが重要」というメッセージを伝えるときに、あれやこれやの宗教の根本的な価値観を持ち出すのが効果的な場合もあるだろう。
しかし、世界80億人のかなり多くの人々が無信仰者だ。
特定の宗教だけを押し出しては分裂のもとになる。
すべての宗教、ならびに無信仰者の立場を尊重したうえで、物事を考えなくてはいけない。
そのためには、より世俗的に、宗教に頼らない形で「思いやりが重要である」と説得力のある科学的説明をしなくてはいけない。
人を思いやる力の「世俗的なプロモーション」には科学が欠かせない。
思想史の中で、様々な文化や宗教によって、脈々と受け継がれてきた「生き抜く力」の根本としての人を思いやる力が、チベット仏教の最高峰、ダライ・ラマによって最新の脳科学や心理学の発展へとつなげられたのです。
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
経営者、教育者、論理学者
1977年生まれ。スタンフォード大学哲学博士。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。教育テクノロジーとオンライン教育の世界的リーダーとして活躍。コロナ禍でリモート化が急務の世界の教育界で、のべ50ヵ国・2万人以上の教育者を支援。スタンフォード大学のリーダーの一員として、同大学のオンライン化も牽引した。スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。本書が初の著書。
【著者公式サイト】(最新情報やブログを配信中)
https://tomohirohoshi.com/