コロンビア大学ビジネススクールで、戦略的な思考法を教える授業が人気になっている。そこで教えられているエッセンスを凝縮したのが話題の書『天才の閃きを科学的に起こす超、思考法』だ。本記事ではその内容からひとつ、すぐに誰もが実践できる極めて合理的な思考の「4ステップ」を紹介する。
ネガティブな思い悩みはムダ
私が本書で紹介するテクニックは、「何をすべきか」を明らかにするための具体的な戦略だ。この戦略の目標はシンプルだ。それは「平常心で思考できるようになるために、ネガティブな感情から自分を解放すること」。私はこのテクニックを、「フリー・ユア・マインド」と呼んでいる(「フリー・ユア・マインド」は『超、思考法』で紹介するさまざまな思考法の1つ。他の思考法については本書を参照)。
「フリー・ユア・マインド」は、「ストレスを戦略に変える」テクニックだ。ストレスから生じるプレッシャーは良いものだが、ストレスから生じるネガティブな感情は悪いものである。
そこで重要になるのが、考えなければいけないことに対してネガティブな感情ではなく、平常心で反応することだ。平常心で反応することで、問題への対処法についての良いアイデアが浮かびやすくなる。
「フリー・ユア・マインド」は次の4つのステップから成る。
・問題
・過去/未来
・カルマ/ダルマ
・行動
各ステップは理論的には単純だが、実践はそう簡単ではない。1つのステップが1分で終わることもあれば、数時間かかることもある。急がず、どれだけ長い時間がかかろうとも4つのステップに従うこと。このテクニックに近道はない。とはいえ何度も繰り返すことによって、より速く行えるようになっていくだろう。
ステップ1:すべての「問題」を書き出す
まずは、悩みの原因を書き出すことから始める。あなたは、「仕事が嫌いだ」と考えているとする。だがこれでは不十分だ。もっと細かく考えよう。なぜ仕事が嫌いなのか?すると、問題の本当の原因が「上司が嫌い」であることに気づく。では、なぜ上司が嫌いなのか?上司があなたを怒鳴るからだ。
このように、「問題」は具体的であればあるほどいい。原因が複数ある場合もある。上司が嫌いな理由が3つあるのなら、すべて書き出そう。
各問題を、1ページに1つずつ書き出す。認めたくない問題もあるかもしれない。たとえば、「仕事は嫌いだが、いまより良い職に就けるとは思えない」と思っているのに、直視するのがつらいので、なるべく考えないようにしているかもしれない。だが、現実から逃れきることはできない。問題は、たとえば夜に眠りに就く前などに、あなたに忍び寄ってくる。
だから、問題はすべて書き出そう。「問題を書いたところで、解決のためにできることは何もない」などと考えないように。このエクササイズの後半で、解決のための有益な方法を紹介する。