現地調査し原典に当たる
その付加価値で差別化

 その一方で、山口氏が「存在する可能性が高い」と言及するUMAも存在する。

「たとえば、アフリカのコンゴの森には、ゴリラとチンパンジーの混血として生まれたライオン・イーターと呼ばれるUMAが存在するという説が濃厚です。動物カメラマンのカール・アンマン氏によれば、ライオン・イーターは平均的なゴリラの足よりも約2センチ大きく、ゴリラとは違って平地に大きな巣を作り、夜中に咆哮(ほうこう)するのが特徴だそう。現在、森林伐採や密漁、感染症の拡大などによって数が減少しているゴリラは、自分たちの種を残すためにチンパンジーと交配していると考えられています。アメリカの遺伝子研究所でも、ライオン・イーターの糞を分析したところ、新種の猿と分析されました」

 この連載をコンテンツとして評価したときに、山口氏の「90%の嘘と10%の真実」というオカルトのスタンスが読者の好奇心をよりそそる演出となっているが、特筆する点は他にもある。

「オカルトの世界は基本的に新しい情報が出てきません。ネット上にあふれている記事を見ても、同じ話が何度も使われていて目新しさもなく、引用元が不明のケースがほとんどです。そのため、私は必ずネタの原典に当たるようにしています。図書館に行って歴史や生物学などの膨大な本をひっくり返して読みあさり、時間が許せば実際に足を使ってUMAの目撃情報があった現地に行くことも。また、アメリカやインド、オーストラリアなど英語圏ではやっているUMAの最新情報の翻訳なども行っています。そこまで手間をかけて取材していることが私の連載の強みだと思っています」

 しかし、将来的にUMAをはじめ、オカルト人気がこのまま衰退してしまう可能性はないのだろうか。

「潜在的に日本には、UMAに限らずオカルト好きの人が多いようです。たとえばアメリカの場合はUFOなど科学をベースにしたオカルトが好きな人は多いですが、日本のようにオカルト全般に需要がある国は珍しい。イギリスのスコットランド地方のケルト文化を除けば、これほどオカルト文化が育つ土壌(精神文化)のある国は先進国で日本くらいだと思います。今後、オカルトは時代に合わせて進化していくでしょうが、決してなくなることはないでしょう」

 旧態依然とした妄信的な信者は淘汰され、きめ細やかな検証にニーズが高まるオカルトの世界。UMAのロマンにのっかるかは“アナタ次第”だ。