生活困窮者自立支援制度では
なぜ不十分なのか

「就労を続けてきたけれども、失職したばかり」という人々を支え、自立を助長し、自立を維持することは、2013年に制定された生活困窮者自立支援法の目的である。この法律に基づく「住居確保給付金」という家賃補助も存在する。コロナ禍のもと、住居確保給付金の利用条件は緩和され、生活保護が対象としていない外国人や大学生など数多くの人々を救ってきた。しかし、住居確保給付金には暖房費補助がないため、寒冷地の冬を生き延びることは不可能だ。さらに、「最長9ヵ月」という期間の制約もある。

 冬季の暖房費は、暖房器具の種類や性能、さらに住まいの断熱性能などによって大いにバラつきがある。生活保護の暖房費補助(冬季加算)のような一律の現金給付では、不十分な場合もある。ともあれ、住居確保給付金のみを命綱としている人々には、「9カ月」の期間満了と冬が同時にのしかかることになる。誰が何をすればよいのだろうか。

 筆者には「正解」は思いつかないのだが、「使えるものは何でも使う」という方向性と、「使えるものをつくる」という方向性を、同時進行させる必要がありそうだ。一定の条件のもとで生活保護の利用条件を緩和することや、生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金の利用期間の延長や増額を行うことは、国会の審議を経ず厚労省の判断で行える。

「冬だけ生活保護でサバイバル」を認める、北海道の柔軟な公助の仕組み本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 福祉灯油制度を過去に運用していた自治体は、現在も、制度自体は廃止していないことが多いはずだ。北海道が生活保護に対して行っていた薪炭費特別給付は、現在は給付金額が0円だが、制度としては生き残っている。制度が残っている場合、給付を再開することは比較的容易だ。

 冬の寒冷は、北海道だけを襲うわけではない。気候変動は、九州の温暖な地域にも氷点下の気温をもたらし、寒冷への備えが全くない地域の上下水道に大きな被害をもたらしている。夏の酷暑や台風も、それまで無縁だった地域を襲うようになった。

 お住まいの地域には、必要かもしれないのに存在しない制度が数多くあるだろう。まず、市議会や町村議会で議題にしてくれそうな議員はいないだろうか。成立しなくても、審議の経緯が残れば、実現につなぐことができる。近づきつつある台風14号の動きを気にしながら考えるべきことは、数多い。

(フリーランス・ライター みわよしこ)