夢をつかんだ夫婦、別れた夫婦の違いは
夫婦間の「ビジョンの共有法」
このBさん夫婦については、Bさんに共感する人も、奥さんに理解を示す人もいると思います。ただ、もっと前にお互いのビジョンを話し合っておけば、ベクトル合わせの余地は十分に残されていたはずです。
Bさんがギリギリまで夢が居酒屋であるのを隠していたのは、それを言うことで、奥さんが反対するのがわかっていたからです。だから、自分なりに準備をし、恐らくこれならいけるという確信をもって奥さんに話したのです。
しかし、奥さんからすれば、もしかしたら居酒屋であることが反対の理由なのではなく、その段階になるまで相談されなかったこと、自分で勝手に何でも決めてしまったということに不満を感じたのかもしれません。
ビジョンというのは、何を大切にして、どんな人生を、どのように送るかという方向性です。ビジョンを語るというのは、思い描く姿を「自分の言葉」で「相手にわかる」ように描写することです。
ワンマン社長であれば、そのビジョンを社員や役員の前で一方的に語ることがほとんどですが、家庭内では二人が共同経営者ですから、お互いがビジョンを語りながら、その方向性を調整することが不可欠となります。
Bさんの場合は、独立というところまでは奥さんの理解は得られていたわけですから、後はその中味のすり合わせがもっと前の段階から頻繁にあれば、事態は変わってきたはずです。
逆に、自分のビジョンを相手に頻繁に語り、結果的にサラリーマンから社長に昇りつめて本人の望む人生を手にしたある経営者がいます。彼は結婚当初は、20代後半で主任だったのですが、この時期から毎年、元旦に必ず自分の掲げているビジョンに沿って、その一年の夫婦としての計画を発表していたそうです。
そして、それを夫婦間ですり合わせ、奥さんも奥さんの計画を発表していたといいます。3人の娘も大きくなると一家の「事業計画」に加わり、それぞれに自分の計画を話すようにさせたそうです。こうなるとほとんど会社です。ちなみに、この経営者は自分のお母さんにも計画発表を促したそうですが、バカにして応じることはなかったみたいです。
私もこのエピソードを聞いたときには冗談かと思って笑ってしまいましたが、確かに夫婦間や家庭においても目標や計画がなければ、その方向には進めないわけです。毎年、前年を検証の上、目標を再設定するまさにPDCA(計画、実行、修正、再実行)サイクルは効果が出るだろうと感心したものです。
結婚というプロジェクトを通して、自ら望む人生を手にするには、夫婦や子どもも巻き込んで、早いうちからお互いビジョンを話し合い、そのフィードバック受け入れるような仕組みをつくり続けることが大切なのです。(連載了)
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