「大きな声であいさつをしよう」は間違い!?
親が知らずに子どもにかけてしまう呪いとは

――親は子どもに教えたり、指導したりしなくてはと思ってしまうことがどうしても多いと思います。坪田先生は最新刊『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』(SB新書)でそれを「親の呪い」とおっしゃっています。

坪田 僕の人生のテーマが、「科学と情熱の融合」なんです。

 よくある「熱血先生」のような情熱ってわかりやすいし、それ自体は人を動かすエネルギーになるので大事だと思います。一方で、教育って科学やデータで捉えられていないことは問題だと思っています。

 たとえば、「大きな声であいさつをしましょう」って小さいころからよく言われるけれど、大きな声であいさつをする子、中くらいの声の子、小さい声の子、まったくあいさつをしない子が、その後の人生どうなったかという追跡データやエビデンスって見たことがないですよね。だから、本当に大きな声であいさつをしたほうがいいかどうかはわからない。あいさつはその場の状況によって違ったりしますしね。

「人の目をみて話をしましょう」とか、「勉強するときは文字を書きなさい」というのも同じで、親の経験測や経験論だけで言っていることが多いんです。

 てぃ先生は、たくさんの園児を見てきて、子どもはそれぞれ性格が違っても、こういうやり方は万人に共通するんだな、という法則性を見いだして言語化されている。

 でも親御さんの場合は自分が親に言われたことをそのまま自分の子どもにも言いがちです。

 じつは、親が子どもにかける呪いって、自分が親にかけられた呪いでもあるんです。女性はこうあるべき。男性はこうあるべき。子どもは素直じゃないとダメ、とか。

 自分がそれに縛られて苦しい思いをして生きてきたのに、無意識のうちに同じことを子どもに伝えて子どもの認知をつくっているんです。

 突然ですが、てぃ先生は「マクドナルド」のことをなんて言いますか?

てぃ マックですね。

坪田 関東の人はマックですね。関西の人はマクド。

 関西でマックっていうとイラっとされるみたいですし、関東の人はマクドと聞くと「?」ってなりますよね。

 本当はどちらでもなくて「マク ダーナルド」(英語風に)なんですけどね(笑)。

 違う呼び方を聞いてイラっとしたり違和感をもったりするのは、今まで「これが正しい」という認知を植え付けられてきたから。その認知からはずれるもの対して違和感や敵意をもつというのは、呪い以外のなにものでもないと思います。

 一事が万事そうだから、親は自分が呪いを植え付けているということを自覚することが大切。そこから、じゃあ改善するためにはどうしたらいいのかとなったとき、いろんな理論を勉強するのもいいけれど、てぃ先生の本のような、実際に数多く実践されてきた具体的な方法を参考にするのはとてもいいと思います。

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てぃ先生(てぃーせんせい)
関東の保育園に勤める男性保育士
保育士として勤務するかたわら、その専門性を活かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演は年間50回以上。
他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。
ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常についてのつぶやきが好評を博し、Twitterフォロワー数は50万人を超える。
著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(ベストセラーズ)は15万部を超える大人気作。コミックほか含め、著書は累計50万部を突破している。
ちなみに、名前の読み方は「T」先生。最近ではYouTubeに動画を投稿し始め、チャンネル登録者ははやくも25万人を超えている。