本当に毎月の試算表や経営指導が必要ですか?
自社のニーズを突き詰めてみると……
前ページでお話ししたように、現在付き合いのある税理士に不満はあっても、ほかの税理士に依頼したことがないため、その不満が適切なものかどうかもわからないというのが実情だと思います。
では、何を基準に自分の会社に適した税理士を探せばいいのでしょうか。
そのポイントとなるのは、まずは自社にとって本当に必要なサービスは何かを見極めることです。「これだけの顧問料を支払っているのに、これくらいしかサービスを受けていない」と考えるのではなく、「これだけのサービスを受けたいが、それに対していくら支払うか」といった具合に考えてみるといいでしょう。
料理店にたとえれば、前者はフルコースを注文する発想であり、後者は食べたいものを単品単位で注文していく発想です。それぞれに良さがありますが、単品単位で注文するほうが無駄のないことは確かでしょう。
そうした考えに基づいたとき、小さな会社にとって、そもそも顧問契約が必要なのか?という問題に行きつきます。
たとえば、税理士に毎月試算表をスピィーディに上げてもらったとしても、それを検討して実効力のある対応策を打ち出していくのでなければ、単に過去のデータを眺める意味しか持ちません。多少間違えがあっても、社内で作成するほうがよりスピィーディですし、小さな会社の取引量であれば、試算表を見なくても、だいたい社長の頭の中で数字は把握できているはずです。
また「経営指導」を求める声もよく聞かれますが、税理士が専門とするのはあくまで税金絡みのアドバイスや、決算書をよく見せるぐらいの工夫です。原則、経営指導は参考程度に考えるべきです。税理士の立場からは1人社員に辞めてもらえば利益が上がるように見えても、実際には1人減ったことにより、売上や社員の士気が落ち、かえって業績の悪化を招くこともあるからです。
このように自社のニーズを突き詰めていった結果、「税務申告さえ頼めればいい」「必ずしも必要のないサービスに対して、顧問料を支払っている」という結論に達したならば、「決算だけ」という選択肢を考えてもいいと思います。