帯状疱疹は、過去に水ぼうそう(水痘)にかかった人の体内に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が、活動を再開することで発症する。VZVは、(主に子ども時代に)初めて感染した時には水ぼうそうを発症させ、水ぼうそうが治った後は、脊髄から出る神経節という部位に潜み、水ぼうそう発症時に獲得した免疫力によって活動を抑え込まれている。

 しかし、加齢やストレスなどによって免疫力が低下すると再び活動・増殖を開始。神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症するのである。国立感染症研究所のデータによれば、成人の約9割がVZVに既感染で、帯状疱疹の発症リスクを抱えているとされる。

 従来は、この免疫力が加齢に伴い低下していく過程で、再強化されるタイミングが頻繁にあった。20代~40代の子育て期に、わが子が水ぼうそうにかかることでVZVに再度さらされることで得られる「ブースター効果(追加免疫効果)」だ。

免疫力が再感染によって強化される
「ブースター効果」の機会が減っている

 ブースター効果について、少し詳しく解説しよう。ブースターを英語の辞書で見ると「後押しする人、増幅器、多段式推進ロケットの打ち上げ用ロケット、効果促進剤」とある。

 私たちの体は、外部からウイルスや細菌などの抗原が侵入すると、それを排除するために抗体を作り出して対抗する。免疫反応システムが作動するわけだ。このシステムを担う「免疫細胞」は、一度侵入した抗原を記憶しており、記憶にある抗原の侵入を再度察知した場合には、より強力な抗体を作り出して迎え撃つ。

 つまり、同じウイルスや細菌への再感染によって最初より強い免疫力が作られるため、再び発症しにくい免疫力のある体になる。これが「ブースター効果」だ。

 2014年10月に小児水痘ワクチンが定期接種化された際、皮膚科医の間では「水痘の流行が激減するため、ブースター効果を得る機会が減少し、高齢者の帯状疱疹が増えるだろう」との指摘がなされていた。実際には冒頭に示した通り、20~40代の年間発症率は2014年以降、高齢者の増加率を引き離して伸びている。