ふたつ目の原因ですが、最近パワフルになった国は、ファリード・ザカリア(※)の言葉で言えば、The rise of the rest(他の国の台頭)ではなく、The rise of the different(異なった国の台頭)です。つまり、今までパワフルだった国とは、まったく違う国が台頭してきたのです。たとえば中には新興国もあります。非常に貧しく、政治システム、経済システムもまったく異なります。その結果、自分たちとは大きく違う国との同意が得られない状態になるのです。

 3つ目の理由は、台頭してきた新興国がグローバルな経験をほとんど持っていないことです。日本、ヨーロッパ、アメリカには、グローバルな協力の長い歴史があります。世界中に外交官も配置しています。しかし、これはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)には当てはまりませんし、新興国にも当てはまりません。

 人口が400万人のニュージーランドの方が、人口が10億人以上のインドよりも、外交官の数が多い。これだけ見ても、こうした新興国にグローバル・リーダーシップを負わせるために、グローバル・ステージに載せることがどれほど難しいかを明確にしています。

 4つ目の原因は、アメリカが今までのように世界のリーダーになりたいと思っていないことです。今の景気後退のスケールも関係していますが、アメリカ人のほとんどは、世界の警察にも、最後の貸し手にもなりたくないと思っています。ヨーロッパを救済したいとも思っていません。つまり、そういう面での議論を持ちたいという欲求がアメリカになくなっています。

 5つ目は、アメリカがそうならば、それはアメリカの同盟国にも当てはまることです。日本はフクシマの問題、ヨーロッパは財政危機があります。この5つの原因は、我々の今の状態がGゼロであることを事実上、証明しています。

――ご存知のように、日本は尖閣諸島の問題で中国と激しく対立しています。これがどのように今後の日中関係に影響を与えるかわかりませんが、あなたの著書の英語のタイトルには、Winners and Losers(勝者と敗者)と書かれています。このGゼロ状態で勝者になるには何が必要ですか。

※インド系アメリカ人の著名国際ジャーナリスト。