以前にも増して重要になってくるのが、フレキシビリティです。そしてresilience(回復力、弾力)も重要です。この2つの性質が非常に重要です。Gゼロの世界では機会や経済システム、政治システムを作り出すワンセットの原理やスタンダードがないので、フレキシビリティは特に重要です。Gゼロの世界では、以前よりも世界がばらばらになっているのです。

 ですから、異なる環境に迅速に適応できて、異なるタイプのスタンダードや、異なるタイプの通商協定をうまく利用できる国や企業が勝者になります。本の中で、pivot states(ピボット国家:片足を軸にして旋回し、複数の国と関係を持ち、その時々によって付き合う相手を変え、それによってリスクを分散できる国)について述べていますが、そういう国が、独自の方法でGゼロの世界をうまく利用できる国です。

 もうひとつ回復力が重要だと言いましたが、Gゼロの世界は、さらに対立が生じ、不安定性が増します。世界中にある対立は手遅れになるまで解決しません。その結果、世界情勢はさらに悪化します。そういう環境では、回復力のある国が非常に重要になってきます。ショックを受けても崩れない国です。

 日本について言うと、フレキシビリティはあまりない国だと思います。しかし恐らく回復力については、世界でもっとも強い国かもしれません。

Gゼロの世界で
日本は敗者になりつつある?

――その意味で日本は敗者になりつつあるのでしょうか。

 今言ったように、日本はフレキシビリティをあまり持っていませんが、回復力があります。フクシマ後の日本を見ればそれは明らかです。節電について、みんなが支持したことも驚くべきことです。

 でも日本が抱えている中国問題は消えませんし、日本はシンガポールやインドネシアやカナダのようにピボットできません。アメリカにくっつく方が、日本にとっては簡単だからです。日本が前進するには、中国問題が大きな弱点になっています。それは間違いありません。