何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか? 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。
会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする裏ワザを紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも!

退職金の確定申告は必要ないと言われるが……。 Photo: Adobe Stock

退職金の確定申告が必要なのは、こんな人

 退職金は、基本的には確定申告は不要です。会社に「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出していれば、会社が退職所得控除を適用し、所得税と住民税を引いて、退職金を支給してくれるからです。

 ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出し忘れると、退職所得控除を適用してもらえず、退職金に20%をかけた高い税金がとられてしまいます。

 高い税金がとられている場合は、退職金の支払い調書を見れば、勤続年数や退職所得控除の額が記載されていないのでわかります。申告書を会社に提出した記憶がないという人はチェックしてみてください。万一、税金を払いすぎていても、翌年、確定申告することで、払いすぎた税金は戻ってきますので安心してください。

 それ以外にも下の表にあるような場合は確定申告をすることで税金が返ってくることがあります。

 (2)の「年度途中」というのは、12月末以外のことです。12月末まで在職していれば、会社でその年(1~12月)の年末調整をしてくれますが、それ以外の人は年末調整をしていないはずです。ということは、社会保険料や扶養控除、生命保険料控除など各種控除がされていないということ。確定申告でこれらの控除を受ければ、税金が返ってくるはずです。

 退職した年に再就職をしている人は、新しい会社で退職前の給与と合わせて年末調整してくれますので、原則確定申告の必要はありません。

 また副業で赤字がある場合や、医療費控除がある人、ふるさと納税をした人も、確定申告をすれば税金が還付されます。確定申告をする時は、退職金も一緒に申告してみましょう。所得控除などが適用されて、税金が戻ってくる可能性があります。退職金は確定申告しても、払った以上に税金を取られる心配はまずありませんので安心して申告してください。

高くなりがちな、退職翌年の住民税も軽減される?

 確定申告をして所得税が安くなると、退職翌年の住民税も安くなります。

 よく言われることですが、退職して誰もが驚くのが、住民税の金額です。

 住民税は、前年の1~12月の所得により確定した金額を、翌年の6月~翌々年5月の間に支払うことになっています。つまり所得税より1年遅れてくるわけです。

 退職時に手続きをすれば、次の5月までの残りの住民税は、退職金や最後の給与から引いてもらえます。

 6月以降の住民税は、再就職していない場合は、基本的には自分で支払わねばなりません。そして、その額は、前年の高い所得を基に計算されているので、退職した月にもよりますが、負担が重くなるのです。おおよそ、会社員時代に給料から天引きされていた住民税と同じくらいの額だと考えておけばよいでしょう(退職金にかかる住民税は退職金から天引きされているので翌年請求が来ることはありません)。正確な金額は、6月ころに、1月1日時点で住民票のある市区町村から請求が来るのでわかります。支払い方法は、1年分を4分割で支払うか、一括で支払うかのいずれかを選びます。

 確定申告で所得税を取り戻せれば、退職した翌年の住民税も安くなります。住民税を安くするためにも、確定申告をして払いすぎの税金がないようにしておきましょう。

 ちなみに税金を取り戻す「還付申告」の期限は翌年1月1日から5年間です。申告を忘れていた場合でも、5年以内であれば間に合います。