社員の顔だけでは
興味を引けない

 もう1つ、企業のHPでありがちな失敗についてお話しします。それはトップページや採用のエントリーページなどに、人の顔(先輩社員)を載せ過ぎるということです。

 どんなに写真映えする素材であっても、就活生はHPに載っている顔写真を見て、その企業に好感を持つことはありません。学生は企業そのものがどういうところか、実際の職場の雰囲気、その職場についての情報を知りたいと思っています。先輩の顔のアップがたくさん並んでいても、残念ながらあなたの会社の良さは伝わりません。

 先輩の写真を載せること自体はもちろん意味があることですが、顔だけを切り取るのではなく、学生に、こんなところで働けるんだということを知らせるために、実際の職場の風景の中に先輩がいるという構図にすべきです。人の顔だけ並んでいても、誰もここで働きたいというイメージを抱くことはできません。

 人は切り取られたイメージだけを見て、状況を理解することはできません。背景や文脈といったものの中に、あるイメージが置かれることで、初めて全体の雰囲気が伝わるのではないでしょうか。

 しかし、なぜ企業は人間の顔をたくさん載せたがるのでしょうか。それは、多くの企業で新入社員に「なぜ当社を選びましたか」とアンケートをとると、就活中に出会った先輩社員や採用担当者など、「人に魅力を感じた」といった答えが多数になるからです。しかし、アンケートの対象者はすでにその企業に入っているという点でバイアス(先入観)がかかっています。それなのに、わが社の強みは人なのだから、先輩社員の顔を出しておけば、多くの学生にアピールできる」というのは安易過ぎます。

 面白そうな会社だな、こんなところで働きたいなと思ってもらうためには、人に加えて、その人が働いている職場の状況や環境がわかる背景も含んだ画像を載せなくては伝わらないのです。

 次回は翻って、就活生の視点で、年末までにやっておくべき業界分析、企業分析の方法についてお伝えします。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局次長 福重敦士)