「世界No.2セールスウーマンはどんな手帳を使ってるんだろう」
素朴な疑問がスランプ脱出のきっかけに

──『和田手帳』を使いはじめて成果や変化はありますか。

竹内 『和田手帳』を使いはじめた目的は、営業の成績不振というスランプから抜け出すためでした。2014年は転勤で環境が変わり、営業職として伸び悩んでいた時期だったんです。心機一転、頑張ろうとしたときに「世界No.2セールスウーマンはどんな手帳を使っているのだろう」とふと思ったんですよね。

9回裏で逆転ホームランを打つメンタルを鍛える「手帳」とは?竹内明さん
製薬会社のMR(医薬品営業)担当
2014年、転勤で環境が変わっただけでなく、営業職として伸び悩んでいた時期に『和田手帳』と出会う。以来、『和田手帳』一筋でリピートし続けるヘビーユーザー。熊本県在住。

 実際に『和田手帳』を手に取ると、そこかしこに「和田さんらしい」工夫が施されていました。12ヵ月区切りだけでなく52週間に区切って目標管理するという点もそうですし、コンスタントに成果を出すための「水曜日の境界線」も、和田さんらしい。「ここまで数字にこだわれるからトップクラスの成績をあげられたのだな」と納得しました。

──「水曜日の境界線」とは、水曜と木曜を区切る太線のことで、1週間を短く区切ることで達成率アップを図っています。

竹内 座談会をしている今日は水曜日ですよね。今週はあと2日あって、明日と明後日を来週につなげるために何をしたらいいのか「来週への布石を打つ」という考え方が水曜日の境界線で身につきました。

和田裕美(以下、和田) 意識しないと1週間はふわふわと過ぎ去ってしまいます。たとえば、1週間で3つ契約をとるという目標を立て、週の半ばで成果がゼロだったとします。そうなると人は諦めモードに入ってしまうんです。「どうせ今週はゼロだわ」って。そうならないために木曜の朝に下方修正する必要があるんです。「3は無理でも1なら取れるよね?」という風に。人はあまりに高い数字を課されると、やる気が失せるもの。逆に手が届きそうな小さな数字なら頑張れるんです。

 営業で大事なことは、「一生懸命動いた」というカタチを残すことです。契約数は1でもいいので、最後まで諦めずに踏ん張れたら、翌週の動きがまったく変わってきます。しんどくても毎週これを繰り返すことで、9回裏に大逆転ホームランを打つ力が鍛えられます。ぜひ「水曜日の境界線」を活用してほしいです。

手帳は世界に一つの「アイデア帳」
引き出しが増え最優秀賞を受賞

よっこ 私も仕事やプライベートで悩んでいた時期に、和田さんに助けられました。和田さんとは10年前に会社の講演会で出会いました。凛とした話し姿がかっこよくて、同じ京都出身ということもあり親近感を抱いたのです。

9回裏で逆転ホームランを打つメンタルを鍛える「手帳」とは?よっこちゃん
会社員
勤務17年目。会社内のPOPを作成するのが好き。2019年から『和田手帳』ユーザーになり仕事とプライベートの2冊使いをしている。3歳と5歳の二児の母。京都府在住。

 その後、育休明けに仕事上で自分の立ち位置がわからなくなり、子どもたちが育っていくなかで悩みごとも増え、再度、和田さんの陽転思考や営業スキルを学ぶようになりました。それらの学びが『和田手帳』にはギュッと詰まっています。

竹内 わかります。私も『和田手帳』の後ろに掲載されている「陽転思考十ヶ条」と「営業基本動作」を見返しては、「もっとクロージングをしっかりしなきゃ」「このあいだの面談はここが足りなかったな」などと心に留めていますから。

よっこ 『和田手帳』を使いはじめて、私はアイデア力が鍛えられました。現在勤務する地区には90の支店があるのですが、POP部門で地区代表に選ばれ最優秀賞を受賞することができました。日々のフレーズを書きとめていると、『和田手帳』が自分だけの「アイデア帳」になりますし、脳が活性化される感覚があります。

和田 日々書きとめておく、というのがポイントですね。「あの本に書いてあった格言なんだっけ?」みたいに、あとで思い出せないフレーズが意外とたくさんあって、そういう格言やアイデアを見つけた日時にメモしておくと後々便利なんです。私は、本のページ数も念のためメモしています。

 アイデアはふっと降りてくるものであり、またすぐに記憶の彼方に逃げ去ってしまうものです。だからこそ、手帳が常に手元あることが心の安定になります。ひらめいたこと、妄想がむくむくと湧いたときに手元にメモするものがある。それがすぐにどこかにいってしまいそうなメモ帳やノートではなく、手帳であるというのが最大の安心感です。アナログの外付けハードディスクのようなものですね。その上、ノートは毎年表紙が同じなのでいつ書いたものなのか迷子になりがちですが、手帳に書いた情報はその年のそのときの気持ちが如実に表れるので、メモをとるなら手帳だと私は思っています。

今やスケジュール管理はデジタル派が多数
それでも手帳がマストな理由

9回裏で逆転ホームランを打つメンタルを鍛える「手帳」とは?久保眞理子さん
経営者
大学卒業後、商社、IT企業の人事を経て独立。小学生の授業から大人の資格取得までサポートする個人塾を滋賀県で開講。毎年手帳を買うが「使いこなせた試しがない」のがお悩み。7年前に『和田手帳』を3ヵ月使用した経緯がありリベンジを図る。

久保 本末転倒なことを言うのですが、私が手帳を使いこなせないのはスケジュールを手書きするのが億劫だからなんです。予定が入ったらスマホに入力してパソコンに同期させたら、それで済むじゃないですか。

和田 実をいうと、私もスケジュールはデジタルで管理しています。スタッフと予定を共有するにはデジタルが便利ですからね(笑)。久保さんのようにスケジュールをデジタルで管理したいという方はそのままデジタルを使うほうがいいのです。

 それと、久保さんは「手帳を使いこなせない」とおっしゃいましたが、完璧に使いこなす必要などまったくありません。それでいいのです。月によってページが真っ白で歯抜けになっていてもいい。とにかく自分なりに自由に使うことを肯定して、手帳をもっと楽しんください。

 手帳にはデジタルにはない手書きの記録が残ります。たとえばグーグルカレンダーには「10時、A社と打ち合わせ」など最小限の情報しか入力しませんが、手帳にはグーグルカレンダーに入力しないようなメモを書きとめることもあります。あるときは詳細に書いて、あるときはあっさりと。乱れた文字のときもあれば筆圧が強くかかった文字もある。

 このように、手帳にはその時の「心」が残ります。白紙のページさえ、後で見たときに語りかけてくることもあるんです。だから、3年もすると「あのときの私こうだったな」というライフログになります。まさに「ここに私が生きていた」という実感そのものが残るのです。

よっこ 3年後、5年後に手帳を見返して、「私こんな風に頑張っていたんだ」って誇りに思えたらいいですよね。

和田 そうなんです。だから1年をともに過ごした手帳は、どうか捨てずに保管してください。手帳は使う人ともに生きていきます。

9回裏で逆転ホームランを打つメンタルを鍛える「手帳」とは?今回の座談会は新型コロナを配慮してオンラインで開催しました。

(後編へつづく)