AIによって仕事を代替されるかどうかは、定型的(繰り返し)な業務を行っている割合が影響しているという。では、日本において定型的な業務を行う割合が高く、AIに代替される可能性があるのは、どんな職業か。『統計で考える働き方の未来――高齢者が働き続ける国へ』の著者であるリクルートワークス研究所の坂本貴志研究員が、同研究所の行った就業実態パネル調査からAIによって仕事を奪われる可能性の高い職業をあぶりだす。
機械学習やIoTなど、AIの技術革新によって既存の仕事がなくなることが指摘されて久しい。野村総合研究所がオックスフォード大学のマイケル A. オズボーン教授らと行った共同研究によると、2030年にかけて日本の労働人口の49%が就いている仕事は人工知能やロボット等で代替可能になるのだという。
さらに、マサチューセッツ工科大学の経済学者であるデイビット・オーター教授らによると、ある仕事が代替されるかどうかは、主にそれが定型的(繰り返しの仕事)かどうかで判別できるのだという。毎日同じ作業を繰り返して行う仕事であれば、その仕事のやり方を機械に学習させてしまえば遂行できてしまうからである。
それでは、日本の労働市場において、このような繰り返しの仕事は誰によって遂行されているのであろうか。繰り返しの仕事をしている人の属性やその人がついている職の特徴を探ることで、AIによって仕事を奪われる人は誰なのかを予測してみよう。
定型業務の割合の大小で
AIへの代替されやすさを検証
リクルートワークス研究所が行った『全国就業実態パネル調査2020』では、繰り返し同じことをする仕事(定型業務)の割合を問うている。本稿では、AIなどによって仕事が代替されるかどうかが「定型業務の割合の大小によって決まる」という前提のもとで、どのような職についている人がその仕事を代替されやすいのかを分析してみよう。
図表1は、各職種を、定型的な仕事が多い職種(代替されやすい職種)か非定型的な仕事が多い職種(代替されにくい職種)なのかと、頭を使う業務の多い職種(ホワイトカラー)なのか体を使う業務の多い職種(ブルーカラー)なのかという2軸でマッピングした図となる。
この分類に従うとすれば、職業は以下の4つの区分に分けられる。
・ブルーカラーで代替されやすい職種
・ホワイトカラーで代替されやすい職種、
・ホワイトカラーで代替されにくい職種
・ブルーカラーで代替されにくい職種
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2020」
注:回帰分析によって得られた係数をもとに偏差値を算出し、マッピングしている。
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