子どもだからといって言葉遣いを変えない

 Cさん(43歳男性)は保育園の名物的おじさんで、子どもからは「構ってもらえたらなんか楽しい人」と認識されている。CさんもAさんと同様、ほぼ無自覚に子ども人気を獲得していたが、「意識している点」を尋ねたところ、「言葉遣いを変えない」という答えが返ってきた。
 
 これは賛否の分かれるところであろうが、子どもに対して子ども目線をアピールするわかりやすいアプローチであることは確かである。「○○だぜ」や「すげえじゃん!」といった言葉遣いは、大人が子どもに示すものとしては模範的ではなく不適切かもしれないが、子どもにとっては友だちと話しているような感覚が持てて、うれしいものなのかもしれない。
 
 Cさんは意図的に言葉遣いを対・大人のときと同様にするよう努めていて、「大人っぽい、子ども扱いが前面に出る口調」を意識的に遠ざけようとする労力は想定されるから、その方針に否定意見は寄せられるかもしれないが、本人なりの努力と葛藤があってのことという点は評価に値するであろう。Cさんなりに「子どもを尊重しようとしている」ということなのだ。
 

子どもと向き合うために大人も余裕を持って過ごしたい

 さて、ここまでの例から筆者が考えるのは、子どもを尊重することの意味である。大人だって、「尊重されていない」と感じた相手のことを好きになることはそうそうない。子どもが「尊重されていない」と言語化することはなくても、その心理を彼らは読み取っている。

 さまざまな理由によって子どもを尊重することができないケースがあるのは痛ましい現実であるが、どこかで自分の心に余裕のある局面が訪れたら、ぜひ子どもと向き合いたい。今回紹介したいくつかのテクニックや子どもへの向き合い方は、こちらの尊重が子どもに伝わりやすいものとなっている。
 
 児童虐待が根絶される日が来るのを願いつつ、本稿が児童虐待防止推進月間にささやかな一助を添えられれば幸いである。