これからの営業に必要な4つの要素
まとめとして遠藤氏は、これからの営業マンに必要な要素を4つ挙げた。「製品やサービスそのものの価値」「プレゼン力」「タイミング」「関係性」の4つだ。
1つ目の製品やサービスそのものの価値とは、前述の「新しい需要を作り上げる」という話に近い。顧客が欲しいと思うものをどう企画するか。そして営業マンは、その製品やサービスを売り込むのではなく、価値を顧客に上手に伝える必要があるという。
2つ目のプレゼン力は、リモートの商談が中心になるからこそ必要になる力だ。遠藤氏は「昔は上手に、きれいなパワーポイントの提案書を作れば、お客さんはそれなりに満足した。しかしリモートの商談が中心になると、言葉の力が重要になる」と話す。顧客に、要点を端的に分かりやすく伝える“刺さる”言葉を使えるかどうかということだ。今後の営業マンは、刺さる言葉を使ったプレゼン力を磨く必要があると指摘した。
3つ目のタイミングは、顧客の望むタイミングに合わせるということだ。営業マン自身のペースで商談を進めてしまってはいけない。特に、商談がリモート中心になると、話が速く進んでいってしまう傾向がある。顧客は早く決めて、早く導入したいと思っているが、営業マンが商談を速く進めてよいという話にはならない。顧客の反応を見ながら、顧客のペースに合わせて商談を進めるということだ。
最後の関係性は、顧客との信頼関係を作れるかどうかということだ。遠藤氏は、顧客がモノやサービスを買うと最終的に決断するときに意識するのは、企業のブランドや知名度よりも、この営業マンが信頼できるとか、この営業マンが言う言葉を信用するということだという。営業マンが売ろうとしているモノやサービスの内容が、競合相手とあまり差がないときこそ、営業マンの信用が大切になるそうだ。
関係性を作るために必要なのは「小さなことを大事にする」ことだ。時間を守る、約束を守る、そういう当たり前のことの積み重ねがあってこそ関係性ができる。これは今も昔も変わらない真理だと言えよう。
最後に遠藤氏は、今の日本企業に求められていることとして「生まれ変わる」という言葉を挙げた。
「新型コロナウイルス以前、デジタル技術が登場し始める前と比べ、これからの企業は、事業そのもの、経営のあり方、生産性などあらゆる点でまったく違う会社に生まれ変わっていかなければならない。その中で、営業マンがデジタル技術を駆使して生産性を劇的に向上させるなど、生まれ変わることができれば、会社を生まれ変わらせる上で、非常に大きな推進力になるだろう」