NTTによるNTTドコモの完全子会社化をはじめ、グループ再結集の動きに、ライバルは警戒を隠さない。特集『デジタル貧国の覇者 NTT』(全18回)の#14では、業界の生き字引でもあるソフトバンクとKDDIの両トップに、NTT問題の本質を聞いた。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
「NTT軍団が本性を現した」
再結集に警戒する大御所
NTTによるNTTドコモの完全子会社化は12月29日に手続きが完了する。これにより、正式にドコモはNTTグループの100%子会社になる。
「これまでの政府の方針とは全く逆の方向ではないか」。高橋誠・KDDI社長は、NTTグループの動きを厳しく批判している。
1992年にNTTがドコモを分離した狙いは「完全民営化」。NTTが持ち株会社体制に移行した99年以降も、政府はドコモへの出資比率の引き下げを求めていたはずだが、今起こっているのは、それとは真逆の方向の動きだ。
ソフトバンクの宮内謙社長は「NTT軍団が本性を現してきた。また一つの会社に戻ろうとしている」と、NTTの動きを一言で斬る。
「打倒NTT」を旗印に、日本の通信業界の黎明期から活動してきた2人の社長は、NTT巨大化に反対する急先鋒だ。85年の日本電信電話公社民営化、99年の持ち株会社発足以来のNTTグループ再結集の動きに、警戒はピークに達している。
だが、振り返れば、今に至るまでNTTは着々と再結集の布石を打ってきた。実は、99年の分割・再編の当初から、再結集の動きは始まっていたといえるのだ。NTT問題で、ソフトバンクとKDDIの2社の勝率は、限りなく低いのが実態だ。