その結果、ビーガンは非ベジタリアンに比較して、総骨折のハザード比(HR)が1.43(95%信頼区間1.20~1.70)、大腿骨近位部の骨折がHR2.31(同1.66~3.22)、脚の骨折はHR2.05(同1.23~3.41)であり、その他の主要部位の骨折もHR1.59(同1.02~2.50)と、有意にハイリスクであることが分かった。
大腿骨近位部の骨折リスクに関しては、ビーガン以外でもリスク上昇が認められた。例えばペスクタリアンはHR1.26(同1.02~1.54)、ベジタリアンはHR1.25(同1.04~1.50)だった。大腿骨近位部骨折の発生件数は、非ベジタリアンに比較してビーガンでは10年間で1,000人当たり14.9件(同7.9~24.5)増加すると計算された。同様に、ペスクタリアンでは10年間で1,000人当たり2.9件(同0.6~5.7)、ベジタリアンでも2.9件(同0.9~5.2)、大腿骨近位部の骨折が増えると考えられた。
肉を食べない人たちの骨折リスクが有意に高いという結果について、Tong氏は「ビーガン、ベジタリアン、ペスクタリアンはいずれもBMIが低かったことが理由の1つとして考えられる」と述べている。実際、本研究の調整因子からBMIを除外すると、骨折リスクとの関連がより強くなった。BMIが高いことは、エストロゲン分泌量が多いことや、骨の強度、転倒時の衝撃吸収性と関連することが報告されている。
もう1つの理由として、肉を食べない人はカルシウムとタンパク質の摂取量が少なく、ビーガンはカルシウム摂取量が特に低いことの関係が考えられる。ただし本研究において、食事中のカルシウム量やタンパク質量を調整因子に加えて解析しても、結果の有意性は保たれていた。そのためTong氏は、「未知の因子が骨の健康に影響を及ぼしている可能性もある」と述べている。
この報告をレビューした米テキサス大学サウスウエスタン医療センターのLona Sandon氏は、「ベジタリアンやビーガンの食事は、さまざまな栄養素が不足している可能性がある。骨の健康のためにはタンパク質、ビタミンK、リン、マグネシウムなども必要だ」と指摘している。また、「ベジタリアンは必要な栄養素を摂取できていることも多いが、ビーガンではビタミンB群、鉄、亜鉛なども不足しがち。健康的な食生活において、肉は必須ではないものの、ある程度の鶏肉や魚などを取り入れるメリットは大きい」と同氏はアドバイスしている。(HealthDay News 2020年11月23日)
https://consumer.healthday.com/11-23-vegan-diets-tied-to-higher-bone-fracture-risk-2648968631.html
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