税務調査というと、映画『マルサの女』やテレビドラマ『半沢直樹』の国税査察シーンのように、資産家や企業が対象とのイメージを抱く方が多いかもしれない。しかし、意外にも、個人を対象とした税務調査は所得税よりも相続税のほうが圧倒的に多く、「10人に1人」の割合なのである。

 平成25年度税制改正により相続税の基礎控除額が引き下げられ、相続税申告・納税の対象者は増加している。人の生死流転に関わる相続は、誰の身にも起こりうること。税務調査もまた、全くの他人事とはいえない時代なのである。

憧れの印税生活!
作者の懐にはいくら入る?

 さて、話を『鬼滅の刃』に戻そう。作者である漫画家の吾峠呼世晴氏の印税は、40億円以上とも言われている。こういう数字を目にすると、税理士という職業柄、またもや頭の中で電卓をたたいてしまう。

 漫画がアニメ映画化された場合、映画が爆発的にヒットしたところで、作者はあまりその恩恵にあずかれないと聞く。アニメ化に際して交わされた契約書をのぞき込む訳にはいかないので、公益社団法人 日本文藝家協会の著作物使用料規定を参考にさせていただく。

 映画化に関する第25条には、「映画制作及び上映等における著作物の使用料は、番組制作費や提供価格等を斟酌(しんしゃく)し、1000万円を上限として利用者と本協会が協議して定める額とする」の文言がある。近頃は小説や漫画を原作として映画化されることが多いが、この条約がディファクトスタンダードとなっているようである。

 この条約を基準として交わす原作使用契約のことを、近頃は「オプション契約」と呼ぶらしい。オプション契約とは、例えば、映画化に際してその原作を利用する側が、ビジネスとして映画化が成立するかどうかを検討した上で、原作使用許諾契約を締結する選択権を原作者側に与えるのである。

 漫画家や作家といったクリエイティブな活動を営みとする人々は、お金に関する交渉事があまり得意とは思えない。そこで、版権を持つ出版社やエージェントがこのオプション契約を映画会社との間で結ぶ。出版社は原作使用料から手数料やマネジメント料を差し引いて、60~80%を作家や漫画家に渡すのが通例だそうだ。

 確かに、使用料が上限の1000万円だとしても、漫画家に渡るのが600万~800万円だとすると、ずいぶん小さな数字になってしまったなあと感じる。興行収入300億円だなどという数字を見ると、余計にそう思う(※筆者注:下図はイメージ。正確な比率ではありません)