銀行,銀行窓口写真はイメージです Photo:PIXTA

第一次世界大戦後に
主力兵科を一変させたドイツ軍

 前回のコラムで書いた通り、100年前、人々は走り去る自動車を目にしていながら「馬なしの馬車」としか認識していなかった。今では担保を取って融資(証書貸し)をするのが当たり前の民間銀行も、当時は企業が毎月必要としている仕入れや給与支払いの運転資金を短期継続融資で貸し出すことを主力業務としていた。

 100年前の「当たり前」は、未来の「当たり前」ではありえない。テクノロジー、人の価値観、法規制が、過去、現在、未来で変わるからだ。

 いつの時代も変わらない普遍的な価値があるとすれば、それは「顧客のお困り事の解決」に他ならない。もちろん、「お困り事」も過去、現在、未来で変容する。だからこそ、持続可能な収益を伴う課題解決型ビジネスモデルを構築し続けることができるかどうかが、銀行の明暗を分ける。

 ただ、これまでの成功体験を捨て去り、ビジネスモデルを一変させるのは、口で言うほど、簡単なことではない。倒産や敗戦など決定的なマイナス事象が起きていないときは、なおさら難しい。