10月8日、大手消費者金融アイフルの第1回債権者集会が開催された。アイフルは相次ぐ過払い金返還請求により業績が悪化、私的整理の一種である事業再生ADRを活用し、2800億円の債務の返済繰り延べを求めている。これを実現するためには、融資残高を持つ66すべての金融機関の同意を得なければならない。
そのため、再建計画の概要が明かされる1回目の債権者集会での金融機関の反応に注目が集まっていた。もっとも、66の金融機関が一堂に会した会場では、再建計画に関する質問などがあっただけで、おおむね賛同を得られた。
これには、「金融庁の意向をくんでいるのではないか」(関係者)との見方が強い。というのも、もし金融機関の同意が得られなければ、アイフルは法的整理に進まざるをえない。そうなれば、2000億円を超える社債はデフォルトし、市場は大混乱する。
また、アイフルに過払い金返還請求が殺到するだけでなく、顧客が重なる他の大手にも同じく殺到しかねない。その混乱を金融庁は恐れ、各金融機関に対し、アイフルに協力するよう暗に仕向けているのではないかというものだ。
では、アイフルのADRは順調に進むのか。火種はある。準メインバンクのあおぞら銀行の存在だ。
集会の直前、あおぞらは、アイフルのADR申請が、一種の保険であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保険金が支払われる条件に該当するか否かの確認を国際スワップ・デリバティブズ協会に行なっていた。
結果は該当せずであったが、もし該当していれば、あおぞらは保険金を手にしていたことになる。CDSの保険金額によっては、ADRに同意して返済が繰り延べされるよりも、同意せずにアイフルが倒産したほうがあおぞらにとって有利な選択にもなりかねない。
また、ADR申請で債務者区分が変更され、不満を持っている金融機関もある。火種はくすぶったままであり、12月の決議まで予断を許さない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)