専業主婦、正社員より
パート社員が幸せな理由
大塚:確かに僕の新刊『結婚を後悔しない50のリスト』の1万人インタビューでも、仕事がすごくできて結婚も上手くいっている人って、局面ごとにキャラが変わる人が多いかもしれません。仕事では真面目なのに、飲みに行ったときは周りが驚くほどはしゃいだり、車を運転するとまた別人だったり。
植木:パッと切り替えられるんですよね。前編で紹介した、心の健康を崩しやすい職業で専業主婦は2位でしたが、その次に順位が高いのは正社員の女性なんです。これもペルソナ数が少ないから。それに対して、本人も家庭も幸せなのは、パートタイムで働く女性だという調査があります。
大塚:へえ、それは面白いですね。
植木:パートって人の入れ替わりが激しいことも多いから、たくさんの雑務を1人でこなさなくてはならず、仕事がルーティン化しない傾向が強いですよね。つまり、そういう場所で働くとたくさんのパルソナを持たざるをえなくなる。すると、結果として夫婦関係もうまくいき、家の中も明るくなるんです。
大塚:僕は本のなかで、結婚をマネジメントすることで自分を「社会化」できると書いたのですが、ペルソナをたくさん持つこともコミュニティでの付き合いをスムーズにして、自分を社会化することにつながりますよね?
植木:その通りです。家庭生活と同じで、素の自分ではなく、よりコミュニティに合うペルソナを出していけばいいんですから。
大塚:自分本来のペルソナ1本で勝負すると、あまり選択肢がなくて身動きがとれなくなってしまう。でもいくつかのペルソナを持っていたら、もし目の前の相手のことを嫌いだと思っても、ちょっと違うペルソナで試してみよう、と。すると意外に歩み寄れるかもしれませんよね。
植木:かいがいしくお客様をもてなす奥さんを演じてみるとか、何でも親身になって話を聞いてあげる優しい奥さんになり切ってみるとか。
大塚:何も本気で演じなくてもいいんですよね。本当の自分ではなく、ただのキャラだと気楽に捉えて。
植木:そうなんです。周りを見回してみても、自分自身に対して肯定的で、自分のことを好きだと断言できる人って、ペルソナをたくさん持っていることが多い気がしませんか?たくさんの顔を持って使い分けるなんて、なんだか世間に対して嘘をついているような気持ちになるかもしれませんが、そんなことない。1つの揺るぎないものがある人よりも、破綻せずにずっと楽に生きられるんです。面白いですよね、人の心って。