慰安婦問題は
法的に解決済み

 加藤長官の説明と判決内容では大きな開きがある。果たしてどちらが正しいのか。

 韓国側は、これまで慰安婦問題で日韓が対立すると、「1965年の請求権協定交渉の過程で、慰安婦問題について交渉を行ってこなかったので、問題は未解決だ」という。

 しかし、協定では「完全かつ最終的に解決済み」と明記している。その基本的考え方は、日韓間では提起する問題が多く、この協定と交渉ではすべてを網羅できない可能性があるので、そのような問題も含めすべて「完全かつ最終的に合意」とするものである。

 法的には、すべての問題が解決済みであったにもかかわらず、日本政府が慰安婦問題でさまざまな後続措置を取ってきたのはなぜか。

 請求権交渉を行っていた頃、元慰安婦だった人々は家族や社会から相手にされず、さみしく生活していた。そのため、韓国政府としても慰安婦問題を声高に交渉で取り上げることができなかったという事情があった。日本政府はこうした元慰安婦の事情に配慮し、人道的な観点から、アジア女性基金を設立し見舞金を支給し、総理の謝罪の書簡を届けることとしたのである。

 その後も韓国側からの要求で、いろいろなやり取りがあった。その集大成が2015年の慰安婦合意であり、「最終的かつ不可逆的」に問題を解決したものである。その合意に基づき、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権はすべての元慰安婦に合意の経緯、内容を説明したところ、75%ほどの人が理解を示し、日本側が提供した財団の基金から1億ウォンを受け取っている。

 しかし、それでも文在寅政権は韓国の国民感情として受け入れることはできないとして、合意を事実上反故にした。ただ現実は、合意に反対していたのは文在寅氏に近い元慰安婦だけであり、それは多くの元慰安婦の意思に背いたものであった。

 こうした経緯を見てもわかる通り、元慰安婦問題に関し、日本は誠意をもって対応してきており、この訴訟に主権免除を主張することは法的にも、道徳的、人道的にも非難されるべきことはない。

 訴訟提起とその判決は韓国側の一方的な行為であり、日本としてこれに譲歩する必要など全くない。その後始末は韓国政府が責任を持ってやるべきことである。そして韓国側がさらに一方的な措置を取る場合には、当然対抗措置を取るべきである。