Appleの利益率が高い理由
決算書の「ある数値」を見ればわかる
米国ビジネススクール講師である著者が、グローバル人材のための「決算書の読み方」を伝授する本連載。過去3回の基礎編(下記)では決算書の3つの書類「財務3表」のエッセンスをお届けしました。
>> 5分でわかる米国決算書(基礎編)キャッシュフロー計算書で企業の本当の儲けがわかる!
>> 5分でわかる米国決算書(基礎編)貸借対照表は企業の「モノ・カネ」をまとめたもの!』
>> 5分でわかる米国決算書(基礎編)損益計算書は会社の「成績表」
第4回以降の応用編では、基礎編で学習したPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)に決算資料を加えて、企業のビジネスモデルを検証していきます。
多くの人がメディアなどの影響を受けてなのか、企業全般に対して固定のビジネスイメージを持っています。たしかに、「多くの人が頭の中に描くイメージ=その企業の稼ぎ頭となるビジネスモデル(or収益源)」という等式は当てはまる場合もあるのですが、実はそうでないケースも多々あるのです。特に、ここ数十年は市場環境が変化するスピードは速く、企業もそれに対応したビジネスモデルへと変えているためです。
今回はGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)の一つであるAppleを題材に、彼らがどのようにビジネスモデルを変化させてきたのかを検証してみたいと思います。
Appleの偉大な経営者2人の業績を比較してみる
Appleの偉大な経営者として皆さんご存じなのがSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)と彼の亡き後にAppleを引き継いだ現CEO(最高経営責任者)のTim Cook(ティム・クック)でしょう。iPhoneが世に出た2007年から今までの間、Appleの成長の歴史を語るのにこの2人を欠かすことはできません。その一方で、この2人がいかにAppleを成長させたのかを詳しく知る人は多くないでしょう。
そもそも、この偉大な経営者2人は、どちらが優秀な成績を収めたのでしょうか?以下のグラフは、Steve JobsがCEOを務めた期間のうち最後の5年間(06〜10年)と、Tim CookがCEOを務めている直近5年間(15〜19年)の売上高営業利益率と売上高純利益率を平均した数値です。補足情報を使って(1)と(2)どちらがSteve Jobs時代の業績かを考えてみてください。
●2007年に初代iPhone発売
●販売台数2018年には累計12億台
●売上高の伸び
2006年vs 2010年:3.5倍
2015年vs 2019年:1.1倍
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