お一人様対応と
環境への配慮が課題

 しかし、バッグ・クロージャーという製品名の知名度は低いと言わざるを得ない。一昨年に公開された映画『翔んで埼玉』のヒットによって、一時は埼玉の名産品としてメディアでクローズアップされる機会もあったが、依然として名称までは知らないという人も多いだろう。

「製パン会社の方々も、現場ではバッグ・クロージャーではなく、クイック・ロックと呼んでいるそうです。たしかにクイック・ロックは『速く留められる』という意味なので、いっそ製品名も社名と同じクイック・ロックでよかったんじゃないかとも思います(笑)。テレビなどでも『この製品の名前は何?』みたいな雑学ネタになることもありますが、それでうちの製品に注目していただけるのならいいと思っています。また、SNSなどでも、マスク着用時に耳が痛くならないようにするための留め具に使われたり、輪ゴム整理に使われたりする投稿もありますが、お客様が楽しんでくれているのはうれしく思います。パン作りに携わる方々が、不快に思うような使い方だけしないようにしてもらえれば、どう使っていただいても構いません」

 河合社長いわく、同社の社員の多くは、自社の製品を説明するときのために、常に財布の中にバッグ・クロージャーを忍ばせているという。

 その一方で、同社には今後の課題もあるようだ。

「よく弊社の会議でも話し合うことなのですが、大きな課題としては2つあります。一つは、2~3枚切りなどハーフサイズの食パンにどうやって対応していくかということ。バッグ・クロージャーは、パンの鮮度を保つために再度封を閉じられることが強みですが、1回の食事で食べ切っていただく場合にはあまり必要がありません。日本人の生活様式も大きく変わり、今は“お一人様”も当たり前の時代ですからね。そしてもう一つは環境問題への対応。前述した通り、弊社の製品の素材はプラスチックです。地球に優しいクロージャーを目下開発中でして、もうじきお目見えできる段階まできているところです」

 コロナ渦の中でも安定供給できる体力を持ち、新たなフェーズに向かおうとしているクイック・ロック・ジャパン。今後もバッグ・クロージャーは、“食パンのアレ”として朝の食卓を支えてくれるに違いない。