埼玉の出願結果に見る傾向

 まずは、1月10日からの数日間に多くの入試が行われた埼玉の結果を見てみたい。各校の出願者が多かった主な入試については次ページの表にまとめた。

 総じていえるのは、思った以上に受験を控える傾向が少なかったことだろう。実際、10日に行われた栄東や大宮開成の受験率は前年比で0.5%減ほどにすぎない。地元の受験者が増え、お試しの他都県受験者が減ったとしても、これが新型コロナの感染リスクを懸念した上での動きを反映したものといえるのかもしれない。

 とはいえ、先行事例としていくつか気になる傾向も現れている。まず、難関・上位校が敬遠される傾向だ。女子校では、1月13日の淑徳与野は前年比7%減の1640人、14日の浦和明の星女子は同6%減の1977人といずれも出願者数を減らしている。25日に第1回入試が行われる男子校の立教新座は出願を締め切ったものの、2020年の1929人には届かないものと見られる。

 次に、同じ学校でも回を追うほど出願者が減っていく傾向だ。一般に後の入試日の回ほど募集人員も少なく、倍率も難度も上がる傾向にあるのだが、今年の入試ではそれが緩和傾向にあった。例えば、大宮開成は10日の1回はほぼ前年並みだったものの、12日の特待は4割弱、14日の2回は2割弱それぞれ減らしている。春日部共栄も10日1回の午前はほぼ前年並みで午後は3割上回るほどだったものが、11日以降は2~3割減となっている。こうした現象がこれから入試の始まる千葉や、出願受付真っ最中である東京・神奈川でどのように表れるのだろうか。

 2020年に比べ、2桁以上の出願者増となった学校としては、男子校の城北埼玉、女子校の大妻嵐山、共学校の青山学院大学系属浦和ルーテル学院、西武台新座、武南、星野学園が挙げられる。今回、栄東が1回目の入試を10日と12日に分割したことの影響もあるかもしれない。

 埼玉の公立中高一貫校でも募集が締め切られ、1月16日と17日で1次検査が行われた。いずれの学校も前年を上回ることはなく、埼玉県立伊奈学園は402人(前年410人)、さいたま市立浦和は561人(同618人)で、男子は248人(同289人)、女子313人(同329人)となった。同じく市立大宮国際も628人(同702人)で、男子は262人(同302人)、女子366人(同400人)と、男子の減少が両校とも目立った。

 2021年開校の川口市立高等学校附属は581人(男子287人、女子294人)を集めている。募集人員は男女各40人なので、7倍を超える出願倍率で、初めての入試としては順当だった。通学区域は川口市全域であり、県内では政令市のさいたま市に次ぐ人口規模の中核市として独自性を発揮したものといえそうだ。