正しい問いから
生まれたWORKMAN Plus

内田:問題解決のプロセスは、いくつもの論点候補の中から本当の論点を設定し、その論点に関するいくつかの解決策を考え出し、そこから最もよい解決策を選び、実行していくという流れで進みます。

土屋:『論点思考』の中で、目に見える現象と論点が違うというお話が印象的でした。

内田:経営不振に陥ったレストランの問題は何かと聞くと、「味がまずい」「客が入っていない」「行くのに不便」「駐車場がない」「価格が高い」という答えが返ってきます。

でも、これらは現象であって論点ではない。これだけ解決すれば店がよくなるというのが論点。たとえば「価格のわりに味がまずいのでリピート客がこない」「車で行かないと不便な場所にあるのに駐車場がない」と、ヒアリングや現地調査を通じて見つける必要があります。

土屋:ワークマンにCIO(最高情報責任者)として入社し、将来のことを考えてみると、成長の限界がはっきり見えました。

その当時のペースで加盟店が増えると2025年に1000店舗になります。人口10万人に対して1店舗の計算ですが、都心の地下の高いところにはなかなか出店できませんから、店舗数1000、売上1000億円が限界です。

内田:マーケットを取り尽くしてしまい、今後の成長をどこに求めるかという大きな問題意識があったわけですね。

土屋:もう少し具体的に考えてみると、まったく新しい分野に飛び出していくのは戦略的にはうまくいかないケースが多いし、ワークマンは石橋を叩いて渡る会社ですから、その選択肢はありません。そうすると、「自分たちの強みを活かしながら客層拡大するにはどうしたらいいか」という問いが生まれました。

内田:ゼロから新しいことを始めるのではなく、すでにワークマンにオートバイ乗りやキャンパーが来店して商品を購入している。彼らのニーズを別のくくり方で整理すればそこに膨大なマーケットがあるのではないかと考えたわけですね。その結果としてWORKMAN Plusが生まれ、成功したということですね。

土屋:自分たちの軸である高機能・低価格製品からは外れずに、ワークマンのオペレーション能力を活かす方法を試行錯誤しました。