経済的に自立して早期リタイアを果たす「FIRE」を目指し、
株式投資を始める個人投資家が増えている。
その多くの投資対象は日本株だが、じつは米国株こそFIREへの近道だ。
米国株は日本株より手堅い。
某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、
2020年に資産1億円達成を計画。
計画を前倒しで2019年に目標達成、51歳で早期リタイアを実現した。
初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、
早期リタイアの大きな原動力となった米国株の投資術を全公開。
これまでの投資歴や投資銘柄、今さら聞けない米国株投資の基礎の基礎から、
年代や目的別の具体的な投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、
“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に役立つ情報を徹底指南する。
ナスダックへの個別株投資は推奨しない
米国株が右肩上がりになっているいちばんの理由として挙げられるのは、米国企業の収益性が高いことです。
前述のように、アメリカでは収益性を高める株主重視のコーポレート・ガバナンスが浸透しており、経営陣は収益性を高める努力をつねに怠りません。
株式市場も収益性の低い銘柄は容赦なく追い出そうとしますから、新陳代謝が進んで、結果的に収益性の高い精鋭メンバーだけが残っているのです。
そうなれば、株価が上がるのは当たり前。
そこから有力&人気銘柄を選抜して投資するスタイルならば、右肩上がりの米国株の恩恵を享受しやすいといえるでしょう。
もちろん、米国株ならなんでも株価が右肩上がりになるわけではありません。
アメリカのナスダックは世界最大の新興企業向け市場で、IT企業など成長著しい銘柄が数多く上場しています。
3000を超える銘柄すべてを対象とするナスダック総合指数は、ニューヨーク・ダウの動向とセットで日本のニュースでも毎日伝えられています。
しかし、ナスダックには黒歴史もあります。
アメリカでは2000年をピークとするITバブルが起こりました。
社名に「ドットコム」とつく企業の銘柄が軒並み上がるというウソのようなホントの話があり、そこから「ドットコム・バブル」とも称されます。
ナスダックに上場している銘柄の株価も上昇し、ナスダック総合指数は2000年に最高値を記録しましたが、直後にITバブルが崩壊すると、ナスダック総合指数は15年後の2015年まで最高値を更新できませんでした。
こうしたこともあって、私は誰もが知るようなメジャーな企業を除いてナスダックへの個別株投資は推奨していません。
歴史が繰り返され、また20年前と似たようなバブル崩壊が起こらないとも限らないからです。
どうしてもナスダックのような新興市場に投資したいなら、個別株投資ではなく、ナスダック総合指数に連動する米国株ETF(上場投資信託)での投資がおすすめです。
一時的に過熱しすぎたブームが弾けて株価が下落する際、損失が最低限に抑えられるからです。