「そんなこと」で悩む若手社員

 上司からすると今、「そんなことくらいで……」という程度の理由で辞めてしまう若手社員が増えています。大卒では、入社3年以内に3割もの人が離職するという統計データもあるくらいです。ニートやフリーターの増加という社会問題ともあいまって、「最近の若いヤツは何を考えているかわからない」と、若手社会人に対する非難は強まる一方です。

  確かに、彼らは情報過多の時代の中にあって、頭でっかちで打たれ弱い面を持っています。しかし、これらはすべて彼らの勤労意欲のなさや未熟さだけに起因することなのでしょうか? 退職届を突きつけられる上司にも非はないのでしょうか?

 私が編集長を務めている『リクナビCAFE』に若手から寄せられるメールには、真摯に仕事に向き合っているからこそ、戸惑いや悩みを抱えて職場で孤立し、途方に暮れている彼らのリアルな姿があります。バブル期入社で、ノー天気だった私からすると、彼らの仕事に対する姿勢は、むしろ真面目で一生懸命に映ります。代表的な声を挙げてみましょう。

 「いつまでも先輩のアシスタントはイヤなんです。早く自分で結果を出したい」

 「朝礼の司会って仕事なんですか? こんな仕事ばかりじゃ自分を成長させられません」

 「上司がちゃんと仕事を教えてくれず困っています」

 「仕事の意義がわからないのに、頭ごなしにやれと言われてなえます」

 これらは、ごく一部の層だけの悩みではありません。実際に働き始めてどう感じたかを若手社員に調査したところ、驚くことに42.5%もの人が「やっていけるか不安になった」と答えています。

 仕事と真剣に向き合っているからこそ、こうした不安が解消されず頂点に達すると、彼らは退職や転職を決意してしまうのです。