いまだにスケジュールさえ確定できない日本では、ワクチン接種はかなりの混乱が予想される。そんな中で、コロナ対応もしていない医療従事者が大半を占める370万人に接種をするのにグズグズと手間取っていたら、本当にワクチンを必要とするリスクの高い人たちの命が危険に晒され、さらに医療現場もひっ迫してしまう。そういう最悪の事態を避けるため、「ちょっと待っていただけませんか」と言いたいのだ。
日本政府はコロナワクチン接種の目標を、「発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし」(首相官邸ホームページ)と定めている。これを踏まえれば、現場で治療にあたる医療従事者の次は、感染が死に直結する「基礎疾患のある人」や「高齢者」、そしてクラスターが起きやすい「高齢者施設従事者」であることは明白だ。
そういう緊急性の高い人たちに先に接種してから、その後に「コロナ対応をしていない医療従事者」という順番の方が、人命の視点からも医療崩壊の視点からも、はるかに理にかなっているのだ。
ワクチン接種の優先度にも
「役割分担」が関係している
日本医師会の中川俊男会長は、民間病院のコロナ受け入れが少ないことを指摘され、「役割分担」だとおっしゃっている。ならば、ワクチン優先接種に関してもコロナ受け入れをしているか否かで「役割分担」をするのが筋ではないか。
実際、そういう医療従事者の役割によって、接種時期を後ろ倒しにする国も少なくない。たとえば、日本同様に年末から新規感染者が増え、今月から鉄道の乗車券販売を制限するなどの「特別防疫期間」に入っている韓国の「新型コロナウイルス予防接種計画」でも、「コロナ対応をしていない医療従事者」は後回しになっている。
《政府はまず、国立中央医療院(中央感染症専門病院)に設けた中央予防接種センターで首都圏の医療機関の従事者を中心に接種を行う。その後、各地域の拠点となる予防接種センターを天安、光州、釜山の3カ所に追加設置する。1~3月に接種を受ける医療従事者は5万人程度になるとみられる》(聯合ニュース1月28日)