偉大なるイチローの教え

イチローさんが、「努力を努力だと思っている時点で、好きでやってるやつには勝てないよ」と言っていたが、僕もそれは正しいと思う。

たとえば、僕はゲームもやるし、映画も観るし、マンガも読む。たくさんの時間をエンターテインメントに費やすことが多い。

「毎日2時間、必ず映画を観てください」と言われても全然できる。

しかし、「毎日2時間、必ず編み物をしてください」と指示されたら、たぶん1週間もしないうちに我慢できなくなって辞める。

好きじゃないものを強要されると、人はそれを努力と感じてしまう

たとえば、会社組織で、社員が努力しないと回らない会社と、ダラダラやっても回る会社があったとしたら、きっとダラダラやって回る会社のほうが安定する。

徹夜してどうにかクリアしたとしても、それを毎週やってくれと言われたら、いつか倒れてしまう。

仕事というのは、基本的に毎月働いてお金をもらって、次の月も同じように働くのを、何十年とやっていくものだ。

20代から60代後半ぐらいまで働くわけだから、無理しないで長く続けるほうが大事だ

圧倒的な努力で徹夜を何度もやってたら、いつか体を壊す。若い人でも、うつ病になったりする。

好き勝手に頑張ればいい

本人が好きでやっているのはいい。テレビ局や広告代理店の人で、仕事が好きで好きでたまらなくて、寝ないで十何時間働いているような人がゴロゴロいる。

それは好きで勝手にやっているから全然いい。

でも、「自分がやっているからお前もやれ」と言ってやらせるのは、ちょっと違う。

『頑張りは「人に押し付けるもの」ではない』

これが本書で伝えたいメッセージのひとつだ。

「成功した人はすべからく努力をしている」というような神話があるが、それは、努力していると思われているかどうかだけの問題だ

僕はたぶん同じくらいの年齢の人たちよりは、わりと幸せに暮らせているから、成功している側の人間だと思う。けれど、そんなに努力した覚えはない。

学生時代は、特許を取って一発当てるしかないと本気で考えていた。

「1%の努力」という言葉は、編集者からの提案だった。

僕はいままで頑張ってきた人生ではないし、天才タイプでもないけれど、こうやって野垂れ死んでいないわけだから、たしかに、多少の努力はあったわけだ

いろいろなところに首をつっこむことや、自分が勝てそうな場所を選ぶことは得意だった

その思考の根っこの部分、つまり、「1%の努力」の本質についての話をしよう。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。新刊『1%の努力』(ダイヤモンド社)を刊行。