結婚はゴールではなく、
新生活のスタートへと変化
大塚:僕は今回、1万人に及ぶ諸先輩方たちの後悔をベースに、『結婚を後悔しない50のリスト』という本を書いたのですが、彼らが何を後悔しているのか分析すると、圧倒的に多いのは「この人を選んでしまった」という後悔ではなくて、「この人ともうちょっとうまくやっていくことができたんじゃないかな」という後悔なんです。
さきほど、最近の結婚式のトレンドは本質的な方向に進んでいるとおっしゃいましたが、まさに諸先輩方の後悔は、それをできなかったところにある。もうちょっとコミュニケーションを工夫すればよかったとか1つ1つは些細なことなんですけど、それらにきちんと向き合えばよかった、と。ちりも積もれば山となって、最後は噴火しちゃうんです。
伊藤:そうならないように、今結婚式に強く求められているのが、ゴールじゃなくスタートとして、「何かを決める」ということだと思います。
大塚:結婚式で、「決める」のですか?
伊藤:ええ。昔だったら結婚相手を決めれば、そこに自分の人生がある程度は紐づいていったわけですが、今の女性は夫の選択に加えて、自分の生き方まで昔以上に選択しなければいけない。
例えば、結婚する女性たちにしても、仕事を続けるか続けないか。続けるとしてもそれは正社員なのか、契約社員なのか、派遣なのか、それともパートなのか、などのような選択がある。さらに子どもを産むか産まないか。産むなら何歳ぐらいまでで、仕事はどうするのか。ありとあらゆる選択肢があり、組み合わせの数でいうと非常にたくさん人生の道筋がありますよね。
そんなふうに生き方が多様化した女性を受け入れる男性側も、やはり親の世代の結婚スタイルとはまったく違うものを目指す時代になっている。結婚していくカップルたちをずっと見ていて、この10年間で生き方の選択肢があまりにも増えていることを感じます。そのため、どういう生き方をして、どういう家族を作るのか、ざっくりであっても、2人で話し合うことが必要。その支えやきっかけが結婚式にも求められているのではないかと思います。
大塚:そうか、確かに結婚式が恋愛のゴールとしてのお祝いの場、だけでは心細い気持ちになりますね。明日からの生活を見据えたものにしないと。
伊藤:そういうなかで結婚式に求められ始めたのは、「誓う」ということ。08、09年から始まり、この10年代、これは非常に重要になってきていると思います。
結婚式には神あるいは招待客の前で愛を誓い、ゲストから承認される「挙式」と、ゲストに感謝を伝えて祝福される「披露宴」で構成されますよね。このうち、これまでのカップルは圧倒的に披露宴にこだわってきた。出費もこちらが多くて、結婚式といえば披露宴のこと、と捉えている人が大半だったくらいです。
ところがここ2、3年は、「挙式についてもこだわりたい」というニーズが増えてきたと感じます。現に挙式の提案も各会場で多様化しており、様々な演出がちりばめられ始めているんです。人気の牧師を指名してお話をしてもらったり、招待客が積極的に参加したり。挙式の重要度が少しずつ増しているというのが、今結婚式で起きている現象なんです。
大塚:つまり、結婚式を機にお互いの価値観をすり合わせ、2人でシンボリックな挙式を作り上げる。それをみんなの前で表明して、見守ってもらおう、というふうに変化してきたのが、最新の結婚式なんですね。(後編に続く)
『ビジネスパーソンのための 結婚を後悔しない50のリスト~1万人の失敗談からわかった夫婦の法則~』
大塚寿・著
1470円(税込)
ダイヤモンド社刊
2012年9月28日発売
大塚寿さんが、1万人インタビューを通してわかった「夫婦の法則」を本にまとめました。50個のリアルな後悔――家事・育児の分担から、義父母との付き合い、使っちゃいけないNGワード、価値観・習慣の違い、貯蓄・財布の管理法、セックスレスまで――と、それを乗り越えた夫婦の対処法を解説します。結婚生活をマネジメントしていく上で、先人たちの英知を集めた地雷の上手な回避法は、必ず役に立つはずです。
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『40代を後悔しない50のリスト』
大塚寿・著 1500円(税込)
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