中国で働く日本人にも訪問を勧めた合肥市とは

 12年前の09年早春、安徽省蕪湖市にある日系企業を訪問した。出迎えてくれた日本人幹部は、中国滞在がすでに3年近くになり、まもなく本国に戻ることになっていると紹介された。雑談のなかで、この幹部はまだ合肥市を訪ねたことがないということがわかった。

 「なぜ合肥市に行かないのか」と尋ねてみたが、「言葉が通じないから」との返事だった。

 そのとき、私はもったいないと思った。もちろん、普段の仕事が大変で、休みの日は静かに過ごしたいという気持ちもわかる。ただ、見聞を広げて自分の人生を豊かにするためにも、赴任先の近辺くらいは回ってみたらどうか、と勧めたくなる。外国駐在は精神的に相当な負担がかかるなら、こうした負担を解消するためのリラックス方法を覚えることも大事だ。

 後に私はそのことを実例として、中国で働く日本人駐在員などに地方訪問を勧めるコラムを数回書いた。実際、中国で働く日本人でもほとんど訪問したことのない当時の合肥市に足を運べば、フランス系の家楽福(カルフール)、米国系の沃爾瑪(ウォルマート)、イギリス系の楽購(TESCO)、ドイツ系の麦徳龍(メトロ)、フランス系の欧尚(Auchanオーシャン)、台湾系の大潤発(RTマート)と好又多(トラストマート)、タイ系の易初蓮花(ロータス)、さらに北京の華聯、上海の世紀聯華、地元資本の大型スーパーグループなどがすでに進出しており、かなり繁盛している。こうした地方都市の経済に皮膚感覚を持つためには、やはり現場を訪ねるのが一番いい。