中国の「大きな田舎」と言われた安徽省の合肥市に、半導体企業が集まる理由中国合肥市――2020年11月、中国科学院量子情報・量子技術革新研究所の建設現場 Photo:Barcroft Media/gettyimages

中国の都市規模を図る「1兆元クラブ」

 中国の新年はやはり春節(旧正月)だ。その春節の前に、企業や団体などは一年のまとめをする、「年会」と呼ばれる全従業員会議を開く。そこで表彰式が行われ、奨励金も配られる。従業員による踊りなどの出し物が披露されたり、景品があったりと、宴会も盛大だ。

 しかし、今年はコロナウイルス感染拡大を阻止するため、多数の人が集まる会議は自粛されている。そのため、新年を迎えるムードが今一つ盛り上がらない。コロナ禍で経営事情が厳しく、ボーナスが出せない企業も多かった。

 だが、それでも中国国内の通信簿みたいなものが出ている。その一つが「万億元クラブ」だ。日本語に訳すと、「1兆元クラブ」になる。今の為替レートで計算すれば、その都市のGDPが16兆円を超えるとその「1兆元クラブ」に入り、中国の都市の経済規模を図る物差しの一つとなっている。

 2020年のGDPが初めて1兆元の関門を突破した都市が6つある。福建省の省都福州市と泉州市、江蘇省の南通市、安徽省の合肥市、陝西省の西安市、山東省の済南市だ。これで、中国の1兆元クラブメンバーが23に達した。そのうち、西安市は西部地域で初めて1兆元クラブ入りを実現した都市だ。

 私もやや鼻を高くしている。というのも、2010年、拙著『莫邦富が案内する中国最新市場 22の地方都市』(海竜社)を出版したとき、合肥市と済南市をこれから伸びる都市として推したのだ。また、西安市はここ数年、もっとも頻繁に訪問した都市で、このコラムでも何回か取り上げたことがある。

 偶然、当たった要素もないとは言えないが、現場を相当歩き回り、そこで得た手ごたえをよりどころに情報を発信しているという自負と自信は持っている。