食事は「自宅で健康管理」の基本。自炊が難しいときは、コンビニのお惣菜コーナーをうまく利用したい。
1食分の最初に選ぶのは、タンパク系の惣菜だ。今は焼き魚や煮魚、豆腐や納豆、卵、サラダチキン、ハンバーグなど種類も豊富にそろう。食べたい物を手に取ろう。
次は野菜やキノコ類、海藻類を。葉物サラダもいいが、おつまみ系の白あえや海藻サラダ、ナムルなどをたっぷりチョイス。いくら食べてもかまわない。
続いて、いも類やゴボウ、ニンジンなど根菜類を選ぼう。「菜」という名称だが、糖質量が多いのでほどほどに。老若男女を問わずファンが多い「ポテトサラダ」も小さいサイズで我慢しよう。
次は主食だが、おかずがそろうと案外、少ない量で済ませられる。小さなおにぎり1、2個くらいが望ましい。そして最後に汁物。温かい味噌汁、スープの旨味が食事の満足感を補強してくれる。
ポイントは食べる際も、この順番を心がけることだ。
タンパク系の惣菜を食事の最初に食べる「プロテインファースト」は、インクレチンと呼ばれる消化管ホルモンの分泌を促し、血糖をコントロールするインスリンの分泌を増強するため、食後の高血糖を抑える効果が期待できる。
2番目に食べる野菜やキノコ類、海藻類は、食物繊維が消化管からの糖質吸収を抑え、やはり食後高血糖を抑制する作用がある。
関西電力医学研究所のグループの研究でも、食事の最初に肉や魚、次に野菜の順で食べると、食後の血糖上昇が緩やかになることが証明されている。
このほか、インクレチンのうち、GLP-1には、胃の内容物が小腸に運ばれる早さを緩やかにする作用もあり、満腹感が持続する。食べる量が減るので、過体重の改善にもつながるなど一石二鳥だ。
さて、食後高血糖を放置すると血管の内皮が傷つき血管の炎症と血栓症リスクが助長される。これに新型コロナウイルス感染症に特有の血管炎や血栓傾向が加わると重症化リスクが上昇しかねない。せめて流行が終息するまで、賢い食べ方を心がけよう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)