日本が女性の社会進出を本気で進めたいならば、それを阻む社会の構造的な問題を解決し、地道に人材を育成していく必要がある。

就活は女性を「男性中心社会」の秩序に組み込むための場

 ここからは、私の10年間の大学教員としての経験に基づいた問題提起である。私は、女性の社会進出を阻んでいるのは、突き詰めれば「年功序列」「終身雇用」の「日本型雇用システム」だと思う(第177回)。そして、そのシステムの入り口である「新卒一括採用」が問題だ。

 もちろん、小学、中学、高校でも男女の格差を子どもたちに強く認識させる場面はある。だが、大学入学前にある男女格差については、大学の学びにさほど影響がない印象を受ける。

 例えば、「上久保ゼミ」は、前任校も含めて通算12年目になるが、8人のゼミ長が女性だ。ゼミ長は、3回生でゼミに入ってから半年間のパフォーマンスを上回生が判断して決定するルールだ。学びの姿勢、リーダーシップをしっかり確認して決めると、女子学生が選ばれることが多くなるのだ。女子学生が積極的にリーダーシップをとっているといえる。

 ところが、積極的に学ぶ女子学生が、就職活動を経た後で、変わってしまう傾向があるように思う。礼儀正しくなり、大人の振る舞いをするようになる一方で、それまでの積極性が薄れておとなしくなるように感じる。それはなぜだろうか。

 例えば、就職活動の際の服装や髪形は男子より女子の方が厳しい条件があるように思う。男子は、私が就職活動をした約30年前よりルールがゆるくなった印象があり、髪形など、「無造作ヘア」というのか、割合自由な形も許されているようにみえる。

 一方、女子は髪の毛を束ねるなどの髪形で統一されがちで、服装も、昔はさまざまな色のカラフルなスーツを着て華やかだったが、今は全員真っ黒のスーツが多い。

 服装や髪形だけでなく、総合職の採用で男子が女子より、実力にかかわらず優遇されることで、女子学生のプライドをへし折ってしまうという面もあるだろう。いずれにせよ、就職活動は、自由奔放で積極的な女子学生をより厳しくしつけて、「男性中心社会」の秩序に組み込むための場となっているのではないかと思う。