人生観が異なるメンバーとの協業
今後のミッションにもつなぎたい
プロジェクトを始めてみて、中浦社長が副業人材に抱いた感想は「アンテナが高く、情報を持っている。また返事が早く、5人いるので知見の範囲が広い」ということだった。
プロジェクト進行のためには、中浦屋のECサイトが今の状態になっている理由や、ブランディングに関わる店の歴史、商品情報などを理解する必要があった。そこで、立ち上げ当初から中浦社長がしっかりと入り込んで話をしたという。また、経営情報や現状のECサイトの売り上げ推移などの情報も共有。実店舗との比較も必要なので、決算書や既存の売り上げ、販売数といった情報もプロジェクトメンバーが見られるようにした。
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「今までECサイトは『形をイメージして作る』というところで完結していた。しかしこのプロジェクトでは、売るためのデータ分析から入っていて新鮮に感じる。今は顧客データや売り上げ傾向などの分析が進んだところ。6カ月でゴールを目指すべく、前半3カ月はベース作りを行い、後半でSNS運用やウェブなどで活動を展開していく予定だ」(中浦社長)
外部から新規で参加したチームであるため、社内にあつれきはなかったのか尋ねると、中浦社長は「抵抗は全くなかった」と答える。
「今回はECサイト運営など、社内のマンパワーでは進まなかったことを進めようというプロジェクトなので、既存スタッフも納得して協調してくれている」(中浦社長)
原則としてリモートでプロジェクトが進むので、既存スタッフとの温度差は当初気になったそうだが、ストレスなくやり取りがされているとのことだ。ECサイトで扱う商品について、従来は掲載されていなかった原材料やカロリーなどの情報や、登録されている品名の差異などの確認が活発に行われているという。
中浦屋では従来もオンラインでのやり取りは行われていたが、店舗の業務などに追われる中で後回しになることも多かった。それがプロジェクト開始以降、既存スタッフの反応も早くなってきているという。メンバーの方でも「既存スタッフとつながりをつくりたい」「コミュニケーションを円滑にしたい」と、チーム立ち上げ後に改めて自己紹介する機会も企画したという。
「もともと輪島は人口2万5000人の小さな街で、競争のない世界。上を目指す貪欲な人も少ない感じなので、ファイブフォースの方と話して『人生観がまったく違う』と新鮮に感じた既存スタッフも多いのではないか」(中浦社長)
プロジェクトのメンバーと話していると現状のゴールに向けての課題だけでなく、「老舗イメージと新ブランドの共存」など今後の課題も挙がってくると中浦社長。ECやデジタルマーケティングに限らず、半ば経営企画的な動きに近づいている部分もあるという。