格言にぴったりの日本語訳

キャンパスの至る所で見る事ができる「Ask What You Can Do」 Photo by Yoshikazu Kato

 毎日、キャンパスに入るたびに目に飛び込んでくるハーバード大学ケネディースクールのモットー「Ask What You Can Do」(あなた自身に何ができるのかを問おうではないか)。1961年1月20日、ケネディ大統領の大統領就任演説における一節であり、歴史に刻まれた、心に響く格言だ(本連載第1回参照)。

 今まさに、「Ask What You Can Do」は世界中の誰もが意識すべき言葉だと私は思う。なぜなら、気候変動や核問題、経済政策やエネルギー政策などのグローバルイシューに挑む真のリーダーを、国際社会は生み出せていないからだ。各国の各人が、グローバルイシューの解決を他人任せにするのではなく、自ら何ができるかを問う時代に突入していると感じている。

 この勇気を与えてくれる言葉を、もっと多くの日本人、特に若い世代に知ってほしいと思い、適切な日本語訳はないかと考え込んだ。前述したような直訳ではなく、日本人の心に沁みこんでいくような、スマートな言い回しはないかと。

 数日間考えた後、とんでもない事実に気づいてしまった。答えは、いつもそばにある。あれこれ試すことも大切だが、結局は、足元を見ろということだろう。ピッタリの文言が身近に存在していた。「だったら、お前がやれ!」である。

ケネディースクール暗黙のルール

 マイケル・サンデル教授について書いた第4回コラムで、「ハーバードに来てから日々感じているが、ここでの講義はとにかく参加型だ。学生たちはどんどん挙手をして、講師に問題意識をぶつけていく。空気なんて読まない。納得いくまで語り合う。講師は教える側というよりも、単なるインストラクターでしかない。主役はあくまでも学生たちだ」と言及した。

 ケネディースクールには先進国、途上国を問わず、世界各国から学生が学びに来ている。皆、公共政策に関心を抱き、教室やキャンパス内で、とにかく意見を主張しまくる。他人の主張にも耳を傾ける。そこには、「徹底的に議論すること」が唯一の使命であるかのような空気が漂っている。