首都圏カトリック校も新たに共学化

 キリスト教系の中高一貫のミッションスクールは別学から始まっている。プロテスタント系メソジストの共学校として人気の青山学院も、1947年に共学の中等部に衣替えして発足した当初は女子がほとんどを占めており、そこに少数の男子生徒がいる状態だった。いまではプロテスタント系の共学校は他にも多く存在する。

 修道会が設立母体となった例が多いカトリック校も基本的に男女別学だが、全国的に見ると、その3割はすでに共学化している。男子校から創立50周年の節目で共学化したドミニコ会の愛光(愛媛県松山市)、上智大学と学校法人が同じくなったイエズス会の上智福岡(福岡市中央区)など、その数は20校を超えている。

 カトリック男子校の中には、その県でトップクラスの難関校も見られる。鹿児島のラ・サール、広島の広島学院、兵庫の淳心学院、大阪の大阪星光学院、京都の洛星、神奈川の聖光学院と栄光学園といったところが代表的な存在だろう。

 カトリック女子校の場合は、東京の雙葉や白百合、横浜雙葉などごく一部の難関上位校とそれ以外との二極化が顕著である。そこで、共学化する学校も出てくる。1992年の明治学園(福岡県北九州市戸畑区)、93年のサレジオ会の日向学院(宮崎県宮崎市)、首都圏では、2008年からの東星学園(東京都清瀬市)、20年からの聖ヨゼフ(横浜市鶴見区)といった具合だ。

 そこに、22年から共学化を発表した学校として、星美学園(東京都北区)が加わった。校名も「サレジアン国際学園」に変更する。戦後、旧陸軍工兵隊兵営跡地に開校、共学の小学校はこのエリアではお受験校として知られる。こちらの生徒数は約600人で、中高の約350人よりも多い。幼稚園もある。

首都圏「中学受験2022」最新動向をチェック!キーワードは「共学化」構内にはサレジアン・シスターズの修道院もある

 15年前には、構内の児童養護施設をマイケル・ジャクソンが訪問したことでも話題となった。新しい校名からもうかがえるように、設立母体はローマに本部を置く女子修道会のサレジアン・シスターズであり、中高一貫の姉妹校としては、2000年に共学化した静岡サレジオ、こちら中高が女子校の城星学園(大阪市中央区)がある。

 目黒区に開校した星美学園第二小学校から始まった目黒星美学園は、60年前から世田谷区の現在地に中高が設けられている。こちらは1年遅れて23年から共学化し、現在地にあわせた「サレジアン国際学園世田谷」に校名も変更される予定だ。山の手のお嬢さん学校として親しまれ、シスター(修道女)が校長を務める昔ながらのカトリック女子校だっただけに、共学化が発表された直後は悲鳴のような反響が相次いだ。

 5年前には星美学園と目黒星美学園の学校法人が統合されており、系列の短期大学も19年から共学化して男子学生を受け入れているなど、中高の共学化に向けた布石は打たれていた。共学の付属小はどちらも人気で、内部進学できない男子は他の中学を受験していた。こうした層を新たな共学校にどれだけ取り込んでいくことができるかが、最初の試練となるだろう。