入院時の症状・酸素濃度・採血・胸部CT検査で私は「中等症」と診断。抗ウイルス剤「レムデシビル」の適用となった。5日間点滴投与し、症状は改善され、幸いにも10日間で退院できた。

 一方、母は「軽症」と診断。そのため、レムデシビルは適用されなかった。ところが、母の症状は数日間一向に改善されない。夜間、血中酸素濃度もときおり95%未満になる。重症化懸念が高まるが、この時点ではレムデシビルが使用できない。

 入院後1週間の経過、症状・酸素濃度・採血・胸部CT再検査で母も「中等症」と診断された。病院側がレムデシビルの使用許可を厚生労働省に申請、許可が下りた。重症化リスクもある症状が続くため10日間に延長して投与。途中からステロイドと抗生剤も併用した。ようやくゆっくりと回復し、23日間で無事に退院できた。この母子闘病の状況について、B教授とともに振り返る。

どんなに気を付けていても
外に出れば「まさかの感染」はあり得る

――本来は対面が望ましい仕事の打ち合せもオンラインにし、会食含めた不要不急の外出を控え、消毒・マスク・手洗い・うがいなど「正しく恐れる」を実践するもコロナに感染してしまいました。感染経路はまったくわかりません。これは、街にあふれている「無症状感染者」からの感染でしょうか。

B教授 「密接」「密着」「密閉」した空間だけではなく、外に出れば「まさかの感染」はあり得るのです。どんなに注意していても、同じレストランの離れたテーブルから飛沫感染した例もあります。例えば、「マスク会食」は大変ですが、自分の身を守るさらなる対策として、やむを得ないでしょうね。

 また、「変異株の感染力の高さ」が報告されています。感染の原因がはっきりわかっていない現状では、「正しく恐れる」といっても、もしある日突然感染した場合の備えは、なかなか難しいものがあります。

――母も陽性でしたが、むしろ、入院できたことは「最善の結果」と思えました。同居の私が入院した後、一人自宅で症状が悪化したらどうしようと不安に思っていましたので…。高齢の濃厚接触者が陰性であった場合、手放しで喜べないケースもあるのではないでしょうか。

B教授 ご指摘の通り、介護を伴う場合など「今後、どのように対策するか」も大きな問題です。基礎疾患をお持ちの方はもちろん、誰もが、陽性・陰性の場合を想定しておくのが良いと思います。同じ家庭内では、どうしてもトイレやキッチン、洗面台など、共通して使用している場所もあります。いかに接触を少なくするか。個室での非常食・飲料水の準備など具体的な対策が必要となると思います。