テレワークで成果を出すための
3つのポイント

 では、テレワーク開始以前にあった不安を、企業はどのような工夫で乗り越えたのでしょうか。ポイントとして、次の3つが挙げられます。

(1)自主的なルール設定が可能になる、小さな単位の組織化

 テレワーク環境では、必要な際に、その都度声をかけてマネジメントをすることが難しいため、個々のメンバーが、ある程度自律して業務を進めなければなりません。そのためには自主的なルール設定が必要であり、それには組織単位を小さくする方法が有効です。

 これまで部・課単位で行っていたミーティングを、2~3人のチームに細分化して行い、やりやすい進め方を決める。そのように、小さな単位での組織化により、円滑に業務が回っているケースが多く見られます。

 例えば、育児中の女性が在籍しているアクゾノーベルコーティング株式会社では、緊急事態宣言で学校や保育園が閉鎖される中、全員が同じ時間に集まってのオンラインミーティング実施が難しい状況に。そこで、チームごとに、都合の良い時間にミーティングを行えるルールへと変更したところ、問題が解決して円滑にミーティングが実施できるようになったそうです。

(2)業務内容の「見える化」

 派遣スタッフを含めた従業員が毎日、その日に行った業務内容を数行のメールで報告する習慣を設けた企業もあります。

 派遣スタッフの場合、もともと契約業務内容が明確にされていますが、週単位・月単位で何をするかまでは明文化されていません。日々の業務報告を行うようにすれば、どの業務にどれくらい時間を要しているのかが明らかになり、適切な指示が出しやすくなったようです。

 例えば、オフィス用品メーカーであるプラス株式会社では、朝晩その日の業務内容をメールで共有することで、工数の把握はもちろんのこと、どのようなことでつまずいているかなどを上長が認識できるようになっています。「業務内容の更なる見える化」が進み、生産性が上がったようです。

(3)双方向コミュニケーションが取れる環境づくり

 特にテレワーク下では、上長に対して「話しかけにくい」という課題を解消することが重要です。そこで、朝会などで質問したり、出来事を発表したりする時間を設けるほか、上長が「この時間帯はチャットでの連絡OK」と積極的に発信している企業もあります。「話しやすい場」を意識的に作るのです。

 上長がテレワーク環境でマネジメントを行う際、何か組織運営がうまくいかないなと思った場合は、まず上記の3つを心がけてみてはいかがでしょうか。