歯ぎしりが
原因で起こる体の不調

 歯ぎしりや食いしばりが癖になると、全身にも影響を与えます。

◎睡眠障害
 歯ぎしりは、睡眠時無呼吸症候群と関連があります。この病気は、睡眠中に一時的に呼吸が止まるもので、心筋梗塞など突然死の一因とされています。以前から、大いびきと睡眠時無呼吸症候群との関連は指摘されていましたが、実は歯ぎしりがひどい方は、無呼吸状態になるケースが多いことがわかってきています。

◎顎関節症
 通常、上下の歯は接しておらず2mm程度の隙間があり、顎を動かす筋肉もリラックスした状態です。しかし歯ぎしりや食いしばりは、顎の関節に負担をかけ続けるので、関節や顎を動かす筋肉に炎症が起こったりするのです。口を開けるときに、関節や筋肉に痛みが出て口が開けづらくなります。重症になると、食事ができなくなることも。

◎顔面変形
 歯ぎしりや食いしばりでは、咬筋という両頬にある大きい筋肉を使うのですが、常習になるとこの筋肉が肥大するのです。そうなると顔の形が変形して、太って見えたり、老けて見えたりします。

 その他にも、頭痛、首の痛み、肩こり、腰痛、めまい、耳鳴り、イライラ、疲労感などさまざまな症状の原因となることもあります。

なぜ、歯ぎしりが
起きるのか?

 歯ぎしりの主な原因はストレス、習慣、噛み合わせ、成長過程などさまざまですが、中でも圧倒的に多いのがストレスです。

 過度のストレスは全身に悪影響をもたらし、気管支喘息や高血圧症、胃潰瘍、糖尿病、うつ病などもストレスが直接的な原因とされています。この負のメカニズムは、以下のようになります。

「ストレス」→「緊張(交感神経優位状態)」→長期間化→「心身のダメージ(不眠、慢性的疲労、免疫低下)」

 この流れを見ると、「根元のストレスを無くさなきゃ!」と考える人も多いかと思います。でも人間の体はうまくできていて、無意識にストレスを緩和しようとする仕組みを持っています。その1つが「歯ぎしり」なのです。