会社も役所も、お金について通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。長くサラリーマン生活を続けていると、税金も社会保険料も会社任せで、自分が何をどれだけ払っているのか意識していない方がほとんどです。また、税や社会保険の基本的な制度や仕組みに関する知識が危うい人も!
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする「裏ワザ」を紹介し、現在5刷ヒット中の話題の書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」、の著者である板倉京先生(下記M)に、お金オンチの担当Iが、いまさら恥ずかしくて聞けない「基本のキ」を聞いた部分を本書から抜粋して紹介します。

社会保険料も税金もお得に!?「扶養」を使った裏ワザとは?Photo: Adobe Stock

そもそも、「扶養」って?

I(担当編集・以下同):前回、地味におそろしい社会保険料のことについて教えていただきました。そして、社会保険料は税金と違って控除を増やして節税などもできず、裏ワザといえば「扶養」を駆使することくらい…とのことだったのですが…。ぜひ、教えてください!

M(板倉京先生・以下同):本書でも説明しましたが、「扶養」には「税金の扶養」と「社会保険の扶養」があります。税金の扶養は所得が48万円以下(配偶者は133万円以下)、社保の扶養は、年収が180万円未満(60歳以上の場合。条件などは組合によって違うので要確認)。年収180万円未満なら、家族の社保に「扶養家族」として“タダで”入れるわけです。しかも社保の収入の判定は、過去の稼ぎでなく、今後の「見込み収入額」で決めるので収入の見込みが立たないうちは扶養に入っておくとおトクです。

I:扶養している人も、追加で保険料払わなくていい?

M:ハイ!何人、扶養家族がいても一緒です。

I:なんと、太っ腹な。同居してない家族でも大丈夫ですか?

M「生計を一にしている家族」つまり一定の仕送りをしてもらっていると証明できたら、離れて住んでる家族でもOKです。具体的な条件などは各健保にご確認ください。

I:たとえば、離れて住んでる会社員の息子の扶養に入れる可能性もあるわけですね。

さらに可能性の大きい「税金上の扶養」

M:そうなんです! 実は、税金上の扶養も、離れて住んでいても「生計が一」の家族なら入れます。仕送りは前提ですが、税金上の扶養は仕送り額などの条件はないです。

I:それはかなりグレーな言い回し(笑)。税金の扶養は、「扶養している側」の扶養控除が増えて節税になりますよね。

M:その通りです! 税金の扶養に入れる親族は幅広く、子はもちろん自分や妻の父母や祖父母、叔父叔母なども入れます。自分が働いている子どもの扶養に入れば、子どもの税金が安くなりますし、もしご自身がまだ稼いでいるなら、年取った親族を扶養に入れるとご自身の節税になります。

I:扶養家族の人数分、扶養控除してもらえる?

M10人扶養家族がいれば10人分扶養控除できるんです。

I:そ、それは!いろんな親族に仕送りしたくなりますね!