ユニクロの「商社外し」は序章、ファストリがアパレル供給網“大淘汰”の号砲Photo:Koji Watanabe/gettyimages,Robert Alexander/gettyimages

「サステナビリティは正しさの追求」と示したのはファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だ。大量生産・大量廃棄を見直す「持続可能性」という錦の御旗の下、ファストリはサプライチェーンの再構築にかじを切った。「正しさ」を求められたとき、果たしてアパレルは“持続可能”でいられるのか。特集『アパレル 知られざる「サステナ淘汰」』(全8回)の#1では、新たな淘汰の予兆を探る。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

サステナビリティで
差別化するユニクロ

「持続可能性」という錦の御旗の下、ファーストリテイリングがサプライチェーンの再構築にかじを切った。これにより、総合商社の繊維部門の大淘汰が迫っている。

 4月8日、ファストリの2021年8月期第2四半期決算会見の席上で、柳井正会長兼社長は「サステナビリティは『正しさ』の追求」と掲げてこう嘆いた。

「自分の得になるとか、会社がもうかるかということではなく、地球や人類にとって正しいことは何かを考えて行動する。今の世界は目先の利害だけを考えて、本気で人類の将来のことを考えようとする人があまりに少ない」

 サステナビリティとは、主に環境・社会・経済における持続可能性を指す。ファストリはかねて環境に配慮した取り組みを強調してきた。

 19年9月からウルトラライトダウンの回収を開始。20年9月には「RE.UNIQLO」と称する、回収した服を再利用した製品ラインを発表し、第1弾としてリサイクルダウンジャケットの発売を開始した。

 ファストリがこうした活動を始めたのには訳がある。

 アパレル産業は、国連貿易開発会議により世界第2位の「環境汚染産業」と指摘されており、欧米を先頭に世界的に“サステナブル”な取り組みが注目を集めているからだ。

 これは、今までのCSR活動のようなレベルの話ではない。企業がサステナブルな取り組みを進めることは、アパレル業界のゲームチェンジを促し、新たな淘汰を生み出すかもしれないのだ。