2020年9月、環境省は「ファッションと環境」タスクフォースを立ち上げた。特集『アパレル 知られざる「サステナ淘汰」』(全8回)の#7では、サステナブルなファッションの促進と環境負荷の透明性の向上に取り組む小泉進次郎環境大臣に、日本のアパレルの課題と国としての方針を聞く。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
気候変動対策を国民に考えてもらうための
一つのテーマが「ファッション」だった
――アパレルの持続可能性を考える上で、小泉大臣が重要視することは何ですか。
誰も損をしないってことです。食品ロスのテーマも同じです。国連世界食糧計画(WFP)が世界で支援する食糧の1.5倍が、国内で捨てられている。食品ロスを減らすことが、二酸化炭素(CO2)を減らすことなんです。ファッションに対してもその思いがありますね。
せっかく楽しんで生きる力を与えてくれるファッションなのに、作られるプロセスの裏側では誰かが泣いている。これが少しずつでも変わっていく。このことが結果的にサステナブルなのだと思います。
――「皆が泣かない」ことは、価格競争が激しく、大量生産でコストを抑える今のアパレル業界の構造では難しいのでは。ビジネスモデルそのものを変える必要があるはずです。
その解決策の一つになり得るのが、環境省のタスクフォースをきっかけに出来上がったコンソーシアムじゃないですか?2020年9月に「ファッションと環境」タスクフォースを立ち上げ、勉強会を開催してきました。その後、勉強会の参加企業を中心としたコンソーシアムが立ち上がった。ここにはまさにバリューチェーンが全部入ってますから。ここから生まれる具体的な対応策、これにすごく期待しています。
――アパレルの持続可能性について、どのような問題意識を持っているのですか。
そう見えるかどうかは別として、もともとファッションは好きなんです。政治家として人前に立つために、ネクタイ一つ身に着けることも仕事に向かう儀式のようなもの。ファッション業界が好きだし、環境大臣になって気候変動を考える中で、ファッションが環境に与えている負荷がここまで大きいと知り、自分の行動を見直す機会になりました。