企業側ばかりでなく、例えばクラブハウスを就活に利用しようとしている学生もいます。コロナ禍で思うようにインターンや企業まわりができなかったこともあり、地方在住の学生が、クラブハウスのユーザーになって、気になる企業のトップや現役社員、業界の人などをフォロー。フォローしたユーザーが開催したり、参加しているルームに入って会話を聴くだけで、企業やトップの考え方といったものが吸収できるのです。クラブハウス就活なら、希望する業界の生の声が聴けて、業界や企業研究もできるため、以前のように足を使っての企業研究よりも、ずっと効率がいいようです。

 これらの学生向けに、IT企業などでも企業名を付けたルームを開催し、学生との接点を増やそうとしています。そんなルームに入れば、人事担当者や社員のアイコンが並び、実際にスピーカーとして質問をしたりすることも可能で、コロナ禍が生んだまったく新しい就活のスタイルが出てきたわけです。

 他には、クラブハウスを使って社員の採用イベントを行った企業もあります。組織のプロジェクト管理ツールを提供するヌーラボが、2021年1月下旬にはすでに採用イベントとして、クラブハウスでトークセッションを開催しています。

 クラブハウスを使って就活に活かしているとすれば、流行に敏感で、IT機器も使いこなしている学生として高く評価される可能性は十分にあります。

 逆に学生にとって、クラブハウスを使いこなしている企業は、新しいマーケットに敏感な企業として、やはり高い評価を得られるでしょう。クラブハウスの出現で、ビジネスは少しずつその姿が変わりつつあるようです。

音声SNSが歓迎される意外な“年齢層”とは

 新しいコミュニケーションの形として、音声SNSが有望なのは、超高齢社会を考えてもわかります。総務省の推計によれば、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、28.7%となっており、しかも総人口が減少傾向にあるため、高齢化率は今後とも上昇し続けるだろうと予想されています。

 超高齢社会が進行傾向は日本だけではなく、多くの先進国に見られる現象でもあります。特に多くの人口を抱える中国では、1979年から2014年まで続けられた「一人っ子政策」のため、今後は急速に日本以上の高齢化が進行すると予測されています。