オンラインが
グローバル化を妨げる理由

星:さて、次にオンライン化とグローバル化について伺いたいです。

コミュニケーションがオンライン化し、世界のいろんな人たちと繋がりやすくなった。

ただ、いろんな人たちに出会える、イコールグローバルな視野が広がるとはいえないと思います。

むしろ、多様なものとは繋がらなくなる。見たいものだけを見させられてしまう。

似たような意見やものの見方の繰り返しで、特定の信念が増幅、強化される。

今、「エコーチェンバー現象(エコーチェンバー化)」などといわれていますよね。いろんな意見にオープンになるのではなく、どんどん自分の意見に埋没してしまう危険性がある。

コロナにより世界的にオンラインの活用が必須となりました。

今後、グローバル化の視点で、価値観はどう変わっていくのか。またはこの価値観だけは保持されていくというのは何でしょう。

松田:難しいですよね。インターネット、オンラインという世界観は、人々の繋がれる領域、アクセスできる情報をどんどん増やしていこうというものでした。

いろいろな形で、コネクト(繋がり)よりディバイド(格差)を生んでいます。

旧トランプ政権のアメリカで近年起こったこともそうですし、世界的に起こっている分断は、まさしく情報がつながって、知ってしまったために起きていることです。

妬み、反感などが起こり、さらにリフレインする情報が強化される。分断を生み出す一番の原因は、オンラインの繋がりともいえます。

繋がることで得られる価値と繋がることで生まれる分断。

我々はこの2つのチャレンジと向き合っています。

だからといって「オンラインをなくしましょう」ということではない。

その中でどうやって、グローバル人材の育成を考えるかが、今後のポイントになってくるでしょう。

よく星先生がおっしゃるように、オンライン教育がソリューションではありません。オンラインの強みと弱みを両方理解したうえで、自分のやりたい教育の形を実現するという姿勢を堅持しつつ、ツールとしてのオンライン教育を使っていく視点が必要だと思います。

星:なるほど、同感です。今回の対談は非常に勉強になりました。またよろしくお願いします。

松田:はい、楽しかったです。ありがとうございました!