国土強靭化政策や2010年代の建設ラッシュにより、空前の好業績を計上してきたゼネコン業界。中堅・準大手は00年代にリストラの嵐を経験したものの、正社員には優しく、定年まで本体で雇用を抱え続ける体質が残っている。出世しなかった社員は、どこで何をしているのだろうか。(大手ゼネコン勤務 建山堀男)
準大手・中堅はバブル崩壊でリストラ
足元の工事は豊富だが、左遷の問題は残る
2000年代には、準大手や中堅ゼネコンを中心に、人員削減の嵐が吹き荒れました。バブル時代の不良債権処理を経て会社を再生、存続させるための経営統合も相次ぎましたね。
ただ、銀行による債務免除を受けての再建が多く、相応の“痛み”も強いられたということ。中高年社員のリストラによる人員削減は不可欠だったのです。
一方で、鹿島や大成建設、大林組といった売上高1兆5000億円前後のスーパーゼネコンは、同様の人員削減をしませんでした。もちろん、バブル崩壊後やリーマンショック後は工事の受注が激減し、苦境に陥りましたが、採用の削減などでなんとか耐え続けたのです。
幸い、ここ数年は民間工事、公共事業のいずれも受注が多く、現場の作業員だけではなくゼネコン本体の社員であっても人手が足りない状況です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響はあるものの、都心の大型工事は続いていますし、今後も状況は、そう変わらないのではないでしょうか。
もちろん、人員削減がないからといって、出世して就けるポストは限られています。ポストに就けなかった社員をどうするかという問題は、今も昔も存在しています。