「テレワークOK」の企業で
働きたい意向が高まる

 このように、住まいに対する考え方が変わった背景には、「働き方」に対する意識の変化があります。コロナ禍以降、転職検討中・転職活動中の人を対象に行った調査(※2)では、「新型コロナウイルス禍を受けて、自分の将来のキャリアを見つめ直したり考えたりしたか?」という問いに対し、58.8%の人が「はい」と回答しました。

 特に「テレワーク」を経験したことで、働く場所・時間の裁量権を持てる生活のメリットを実感した人が多数。転職先を検討するにあたり、「テレワークが認められている」ことを重視するようになっています。

(※2)「新型コロナウイルス禍での仕事に関するアンケート」 2020 年、リクルート調べ
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 このように個人が「クラシゴト改革」へ動き始めているのに対し、企業側はどう対応すべきでしょうか。人材の獲得、そして従業員が個の能力を最大限に発揮できるようにするためには、個人のニーズ・ウォンツを尊重し、柔軟に対応する必要が出てくるでしょう。

 新たな人事制度を設ける際には、最初からきっちりと固めて全体に一斉導入するのではなく、一部で「お試し」でスタートすることをお勧めします。

 実際、ある企業では、「出社なしでどこまでできるか」にチャレンジするチームを設け、フルテレワークの実証実験を行っているようです。フィジビリスタディから始め、生産性の変化についてしっかり検証するステップを踏んで導入していくと、いいのではないかと思います。

 また、地方には「ワーケーション」の誘致に積極的な自治体もあります。ワーケーションのお試しスペースや宿泊施設などを整備し、都市圏のビジネスパーソンを受け入れています。こうした施設・仕組みを活用することで、他社の人たちとの交流や情報交換も生まれ、それが自社のビジネスに生かせる可能性もあるでしょう。

 私自身も旅先での出会いが思いがけず仕事につながった経験があり、このことを実感しているのですが、日常の行動範囲から出ることで新たなインプットが得られるものです。

 総務省などで、ワーケーション支援を行っている自治体を紹介するサイトなどもありますので、注目してみてはいかがでしょうか。

 従業員にとって働く時間・場所の自由度が高まれば、エンゲージメントの向上につながり、採用力も高まる可能性があります。企業もこうした新たな潮流をより意識する必要に迫られているのです。

(不動産・住宅情報サイト『SUUMO』編集長 池本洋一)