コロナ禍以降、テレワーク中心の働き方にシフトし、「クラシゴト改革」を果たしている事例は複数見られます。自然に近いエリアに移り住み、朝・夕にサーフィンやトレイルランニングなどの趣味を満喫する人、九州や海外へ出向いて「ワーケーション」を行う人、子どもの夏休み期間中、ずっと長野の実家に滞在する人など……。

 テレワークによって「時間」「場所」の裁量が広がったことを機に、生き方そのものをデザインし直す人が増えているのです。

都心50~100キロ圏内で
「二拠点居住」「移住」先の物件を探す人が増加

 クラシゴト改革の動きは、実際のデータにも表れています。

 私たちが2020年5月に実施した調査(※1)において、「今後も(コロナ禍が終息した後も)引き続きテレワークを行う場合、今の家から住み替えを検討したいですか」と尋ねたところ、4人に1人が「検討したい」と回答しました。

 また、二拠点や都会以外で生活する「デュアルライフ」の意向を持つ人は、コロナ禍以前(2018年11月)は14%であったのに対し、コロナ禍(2020年7月)では27.4%へと倍増しました。

(※1)「新型コロナ禍を受けたテレワーク 住まいの意識・実態調査」2020年、リクルート調べ
地方移住・二拠点居住したいエリアランキング、コロナ禍で仕事と暮らしのニーズが激変

 実際に、物件を探す行動を起こしている人も見られます。コロナ禍以降、『SUUMO』に掲載されている物件の閲覧数が、特定の地域で大きく伸びているのです。

 2020年1月と8月で比較したところ、中古マンションの閲覧数が増えたエリア・トップ5は、「神奈川県三浦市」「神奈川県逗子市」「横浜市瀬谷区」「千葉県成田市」「神奈川県葉山町」。中古戸建てでは、「千葉県富津市」「千葉県館山市」「栃木県那須町」「千葉県木更津市」「千葉県美浜区」が物件閲覧数を大きく伸ばしています。

 このデータから、都心から50~100キロ圏内で、「海が近い」「景観が美しい」「リゾート地」といった特性がイメージしやすいエリアが、移住先・二拠点居住先として注目を集めている実情が見てとれます。

地方移住・二拠点居住したいエリアランキング、コロナ禍で仕事と暮らしのニーズが激変

 さらに2021年3月には、東京都民を対象に「地方移住・二拠点居住への関心度」を調査しました。

 地方移住・二拠点居住の関心について尋ねたところ、「関心がある」と回答した人は36%に上っています。また、関心がある人のうち、「新型コロナウイルスの感染拡大によって、地方移住・二拠点居住の関心が生まれた・高まった」という人が52%を占めました。特に20代、ライフステージ別では末子が小学生未満のファミリー世帯で関心が高まっています。

 この調査では、東京都民が「移住・二拠点居住したいエリア」も明らかになっています。

 1位は神奈川県の鎌倉・三浦エリア、2位は東京都の八王子・奥多摩エリアと、首都圏にもアクセスしやすい地域。3位以下は、沖縄県の離島・諸島エリア、北海道の石狩エリア、静岡県の伊豆エリアが続きます。

地方移住・二拠点居住したいエリアランキング、コロナ禍で仕事と暮らしのニーズが激変