急にお金が必要になったときに、あるいは収入が絶たれたときに、生活を支えるお金を資産から捻出しなければならないが、手持ちの資産はどのような条件でなら換金できるだろうか。

 例えば、投資用の不動産が主な保有資産で、住宅ローンの残高が大きいというようなケースだと、住宅の換金には時間とコストが掛かる。また、外貨建てや変額保険も含めて、生命保険はそもそも資産運用に不向きだし、解約の手間とコストが重荷になりやすい。これらでの資産運用を避ける方が「ウィズコロナ時代向き」だ。

 もちろん、銀行の預金や個人向け国債(購入後1年たつと換金できる)などは換金性が高いが、これらは収益率があまり期待できない。一方、上場株式や投資信託が主な保有リスク資産なら、数日で、かつ低コストで部分的にも換金できるので、お金が必要な事態に対応しやすい。

 加えて、株式や投資信託などによる資産運用が進んでそれなりのサイズの金融資産を形成できると、生命保険に対する必要性が低下して無駄な保険料を支払わずに済むようになる。そうした、いわば「保険を卒業する」ことができる効果も大きい。

キャッシュレス決済との付き合い方は
「シンプルで管理しやすく、記録が有益」

 コロナによって、現金のやりとりに伴う「接触」を嫌う理由から、キャッシュレス決済の普及を進める機運がより高まった。確かに、不衛生であることは現金の弱点の一つだし、高額紙幣には脱税や不正な取引を助ける側面があり、キャッシュレス決済を広めることは社会にとって良いことだ。

 他方、キャッシュレス決済で各種の支払いを行った場合に、現金支払いが主流の時代よりも金銭管理が難しくなると感じている人も少なくあるまい。

 個人には、キャッシュレス決済との上手な付き合い方が問われるが、大まかには、クレジットカードなどのキャッシュレス決済手段の数を少数に絞り込んで、キャッシュレス決済をシンプルに使うことをお勧めしたい。理由は、手段の数が少ない方が管理しやすいし、使用記録が同時に支出の記録として「家計簿」の代わりになって、自分の支出を把握しやすくなるメリットがあるからだ。

 お金のアドバイスとしては、あれこれの「ポイント」などの得する使い方を紹介する方が一般的かもしれない。しかし、趣味的ポイントマニアを除くと、現実的には「シンプルで管理しやすく、記録が有益である」ことのメリットが大きいだろう。